社会から受けるコントロール【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第8回
森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第8回
【作家としての仕事もなんとなく】
森博嗣は「引退した」あるいは「引退するといった」と狭く近い範囲では認識されているはずだが、どういうわけか執筆依頼が後を絶たない(表現が不適切?)。本を書いてくれ、雑誌に寄稿してくれ、推薦文を、講演を、といろいろメールが届く。もちろん、「大変光栄なご依頼ですが、引退しているので、ご辞退させていただきます」と答えている。申し訳ない、とは感じる。もっと健康で若くてエネルギッシュで、もっと稼いでもっと散財したい、という森博嗣がいたら良かったのにね。
ところで、全然関係のない話をしよう。外国人がインタヴューに答える場面で、日本語の吹替えや字幕の台詞が、やけにタメ口になっているのはどうしてなのか? 男性なら「〜だよ」だし、女性なら「〜だわ」になる。もう少し丁寧な口調に訳してもらいたい。
文:森博嗣
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✴︎森博嗣 新刊『静かに生きて考える』2024年1月17日発売✴︎
★森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。どうぞご期待ください!
世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?
森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。
〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。