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 「ミニマリズム」のあとの「エネルギー」

「最小限主義の心理学」不定期連載第3回

 ● エネルギーは変わっていない

「コンテンツに夢中になり、廃人のようになるのは良くない」から、ミニマリズムでは私は本を捨て、サッカーゲームを捨てて外に出るようになって良かった。と思っているが、雑誌も本も電子書籍で激しく読んでいる。
 物質としてそれがないだけだ。
 エネルギーは変わっていない。

 テレビを捨てるかどうか悩んだときがあったが、捨てないで良かった。
 最近のドラマは俳優や内容であまり判断せず、第一回はなるべく観るようにして、面白かったものを継続して観ている。
 ほんとに毎週楽しみだ。

「執着を強くするな」というのはミニマリズムの美点であると思う。
 すべてを捨てて今すぐ旅立てるのがミニマリズムの姿勢だ。
 でも、私は無理かもしれない。
 家族がいて、一人旅さえしない。
 今の吉祥寺の家が好きで、手放したくない。
 車のない生活も、もう嫌だ。
 キャンプ、止めたくない。
 電子書籍も最高だ。

 部屋にモノがなくなった分、そのエネルギーは別のものへ向かっている。
 執着はなくしたようでも、なくなっていない。

 そういう意味では、西行や良寛のような世捨て人ではない。
 憧れるけれども、世はまったく捨てていない。

 ● 久しぶりの買い物

 ずっとモノが「欲しい」という気持ちが薄れていたけれども、突然、腕時計が気になってきて、迷っていた。
 そんなとき、佐々木典士氏の腕時計が目に止まった。
「捨てたけど、お気に入りだったのでまた買いました」
 という一言で、その場で購入ボタンを押した。

 そういう買い物が久しぶりだったせいか、歓びは大きい。
 世が作った名品を愛でるエネルギーは、分散せず、左腕に集約された。
 届いた腕時計を、いつも眺めている。

 

 

 

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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