「子どものことは学校に任せる」学校依存度が極めて高い〝親と地域〟が、教師を疲弊させている【西岡正樹】
◾️「迷惑行為をする子どもとは断固戦います」
「家庭」や「学校」、「地域」は子どもに自覚を促すために、子どもたち一人ひとりの思いや考えをもっと尊重してほしいと思う。だが、そのためには、自分の言動に責任を持たなければならないということも、合わせて伝えなければならないのだ。20数年前、イギリスに2か月半滞在した折に、ニューカッスルの小学校を訪ねたことがある。その時に見学をさせてもらった高学年(11歳)の担任教師が語った言葉は、とても明確で私の溜飲を下げるものだったことを思い出す。
「このクラスに授業を妨害する子どもや他の子どもに迷惑をかける子どもはいないのですか? もしいるのであれば、どのような対応をしますか?」
「私は断固としてその子どもと戦います。教室を乱す子どもをそのままにしておくことはできません。しかし、どうしても止めることができなければ出席停止にします。学校に入学するときに『迷惑行為が続くときは登校禁止にする』と親には伝えているので『登校禁止』は問題にはなりません。実際迷惑行為をする子どもと戦ったことがあります。でも幸い、その子は登校禁止にはなりませんでしたが」(手を付けられないような子どもでも、簡単に登校禁止にすることはできないが、人としてやってはいけないことにたいして明確な姿勢を示す必要があるということなのだろう)
「自分で考え、自分で判断し、自分で行動するという個の大切さ」と「自分は一人では生きていけないという社会性」は切り離すことはできない。子どもはそれを成長と共に確かなものにしていく。そのためには、その2つを大切にする教育が、「学校」だけではなく「家庭」でも、「地域」でも行われなければならないのではないだろうか。ここで強く伝えたいことは、「この2つを大切にしていく教育は、『学校依存の現状』では、けっして成し遂げられるものではない」ということだ。
文:西岡正樹