一流の会話術 さりげない気づかいが一流と二流を分ける
一流と二流を分けるのは相手を思いやる想像力
「この人はスゴイな」「さすが一流だな」と思わせる人の共通する特徴。それは、ちょっとした気づかいにある。
「一流になるため」のさまざまな著書を持つ、中谷彰宏氏に、さすがと思わせる、一流の人が使うフレーズについて聞いてみた。
★このひと文字が一流と二流の差「か」と「ね」
たとえば誰かに何かを教えてもらった時、あなたは、
どんなふうにあいづちを打ちますか?
×「そうなんですか」
◎「そうなんですね」
気づかいのある、ないは、難しい言葉の言いまわしの差ではないのです。
たとえば、何かを教えてもらった時の返事は2通りあって、似ています。
それは、一文字の差です。
以前、飲食店経営者の経営するキャバクラ店に連れていってもらったときのことです。オーナーから、お店で働く、ある女性を紹介されました。
その時に、そのオーナーが「膝の上にハンカチを置いちゃダメって言ってるじゃない」と女性を注意しました。
オーナーは、膝の上にハンカチを置くのが嫌いだったのです。
その方針を知らない女性は「そうなんですか?」と答えました。
この「そうなんですか?」は、本人が思っている以上に相手を不快にさせます。
この女性は、普段から「そうなんですか?」が口グセになっているのです。
「そうなんですか?」ではなくて、「そうなんですね!」と言うだけで、グッと印象が変わります。
「そうなんですか?」と「そうなんですね」では、次回、また何かを教えてもらえるか、もらえないかに分かれてしまいます。
教わった時に、気づかいの差が出るのです。
二流は、人から教えてもらえなくなります。そうして、人間的な成長が遅れるのです。教えてあげたいと思ってもらえることが大切です。
「そうなんですか?」は反論に聞こえます。
「そうなんですね」は受け入れています。
「そうなんですか?」は店長の顔を見ています。
指示をされたことに「そうなんですね。知らなかった」と言うと、印象が違ってきます。
間違っていることが問題ではないのです。大切なのは、教えてもらって「そうなんですね」が口グセで言えることです。
「ね」で覚えるか「か」で覚えかで、大きく分かれます。好かれるか好かれないかにルックスは関係ないのです。
★相手が趣味の話をした時
×「キッカケは、なんですか?」
◎「コツは、なんですか?」
「最近○○にハマッてるんです」という趣味の話を聞いて、インタビュアーの多くは、ヘーッと言ったあと、「キッカケは、なんだったんですか?」と聞きます。
日本語として何も間違っていません。
ただし、「キッカケは、なんだったんですか?」は、話し手が答えにくい質問です。
「普通の人は、社交ダンスなんてしませんよね。プッと笑っちゃうじゃないですか。中谷さんがハマったキッカケは、なんだったんですか? 私、意味わからないですけど」ということです。
ゴルフであれば、キッカケを聞きません。それは、みんながするからです。
そんなにヘンなものをするのは、よっぽど、とんでもないキッカケがあったに違いないと思っています。
人の趣味にキッカケはありません。気がついたらしていたのです。ひょんなことからしているのです。
「キッカケは、なんですか?」と聞く人は、相手のしていることに否定的です。
興味のある人は「コツは、なんですか?」と聞きます。
このフレーズが、その話に、興味があります、という意思表示になります。
たとえば「編集者をしています」という人に「キッカケは、なんだったのですか?」と聞くのは、「何かおつらいことでもあったのですか? 一般企業を落ちたんですか?」という否定的な見解が入っています。
「編集のコツは、なんですか?」と聞くことで、相手も話をしやすくなります────。
ちょっとした受け答えの語尾で印象は変わってしまうし、確かに、一流と言われる人の話し方をじっくり聞いてみると、使っているフレーズが「さすが」と思わせることが多い。
「ちょっとした口ぐせで、人生は大きく変わる」と中谷彰宏氏は言う。
この記事を読まれたなら、口ぐせになっているフレーズを二、三、注意して変えてみてほしい。意外な効果に驚くはず。
◎中谷彰宏
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
近著に『一流の人のさりげない気づかい』(KKベストセラーズ)がある。