これ以上近づいたら撃つぞ!〜シリコンバレーの鉄道駅は現代アメリカの縮図だった〜【林直人】第1回
【集中連載】これ以上近づいたら撃つぞ!〜シリコンバレーで実感したアメリカと日本の現在〜 第1回
(6) 食事の調達
先程多少触れましたが、食材の調達は安く上げるならwalmart一択です。コンセプトが近いスーパーとしてTargetなどもありますが、やはりwalmartの圧倒的なバイイングパワーには負けているな、というのが私の印象です。walmartはとにかく安く、それでいて質がいいのが特徴です。たとえば、放し飼いの鶏の手羽元が2kgで1000円ほどで売られています。これは滞在中非常に重宝しました。
アメリカではスーパーによってかなり物の値段に差があります。日本の「スーパー玉出」と「成城石井」でも商品の価格には差がありますが、その比ではありません。たとえば、walmartではちょっと古くなったフランスパンが0.4ドル(日本円で60円ほど)で売られています。これをガトン(3.8リットル)単位で買った牛乳と大量の砂糖と卵で和えて食べるとりっぱなフランスパンになります。アメリカのパンは総じてパサパサしていておいしくないですが、これはすごくよかったです。あとは値段を気にしないならベーグルが5つで3ドル程度で売られているのでそれを買ってクリームチーズをつけて食べると美味しいです。
一方で、アメリカで一番物の値段が高いのはAmazonに買収されたwhole foods marketです。先程紹介したアジア系コメディアンのJimmy O Yangはwhole foods marketについて”Whole Foods Chicken”という演目で次のように述べています。
「ホールフーズでは1ポンドの鶏肉が8ドルする。チキンが最低賃金より高いなんて!(※7年前のインフレ前に行われた演目)この鶏は自由な農園で飼われてる。僕はロサンゼルスのワンルームに3人で住んでる!僕よりも恵まれたチキン!」
実際のところ、銃乱射事件に巻き込まれる可能性はwalmartにいるときよりもwhole foodsにいるときのほうが遥かに低いと言えるでしょう。ほとんどの銃乱射事件は少々値段が安めのスーパーで起こっています。そういうスーパーで買い物をする人は往々にして民族的マイノリティであることが多く、そうした人々が憎悪犯罪の犠牲になることが多いのです。とはいえwalmartも手をこまねいているわけではなく、常に拳銃を装備したいかつい警備員が駐車場内を監視し、事細かにチェックをしています。
また、食事の調達という観点でwalmartを利用したときに私が少々気になることがもう一点ありました。それはwalmartのセルフレジについてです。walmartではセルフレジを導入しているのですが、野菜の計量などでは従業員の手が必要な部分もありますし、セルフレジのチェックがかなり甘く、出口には監視用のおばちゃんがいて、レシートと実際に買ったものの差異をチェックしているのですがこちらもかなり甘い印象を受けました。
カリフォルニア全般に言えることですが、万引きへの対策などが行き届いておらず、政治も万引き犯の取締を規制するなどおかしな方向に向かっているためにwalmartのリーズナブルさがこれからもカリフォルニアでしっかり維持されるかは不明です。往々にして万引き犯からの被害は一般の顧客の犠牲によって穴埋めされるからです。
文:林直人
※第2回【私が年一回シリコンバレーを旅行するのはシリコンバレーに行けば日本のこれからがわかるから】につづく…