独立リーグのベテラン選手“伴ちゃん”に注目してほしい。
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈21〉
四国アイランドリーグ最年長のひとり、伴和馬投手のこと。
最速145キロ右腕の本当にすごいところ
そんな中で、伴ちゃんは四国アイランドリーグ所属5年目を迎えている。もっとも長く四国アイランドリーグにいる選手(5年目の選手はリーグでも4人しかいない)であり、NPBを経験していない投手としては(僕をのぞいて)最年長選手でもある。
コントロールがものすごく良く、ストレートも145キロに届く。売りはよく動くツーシームだ。前期日程も、ケガで出遅れたにも関わらず、先発、中継ぎとフル回転し、正田投手の52回に次ぐ49回を投げ、3勝2敗。優勝に大きく貢献した。
どちらかと言えば、あまり口数が多いほうではない。黙々と打ち込むタイプで、その姿勢からはNPBへの思いをひしひしと感じる。だから、きっとものすごく勉強家なのだろう、体や健康についてもものすごく詳しい。
まだ僕が入団する前の、トライアウトでの出来事。
「これを使ってください」
トライアウトの手伝いに来ていた伴ちゃんが、自分が使っているという、とてもいいシップを僕にくれたことがあった。前にも書いたようにトライアウトは7日間連続で試合をするのだけれど、(当時)39歳だった僕の体は悲鳴をあげていた。肩と肘、両方とも限界に近くなり腫れあがっているのを見て、初めて対面する僕に気づかいをしてくれたのだ。とても嬉しかったことを覚えている。
チームメイトになってからも「体には気をつけてくださいよ」と、ことあるごとに声を掛けてくれる、とてもいい人だ。
実は伴ちゃん、もともと野手だった。最初に所属した香川オリーブガイナーズ時代に投手に転向したと言う。だからというわけでもないだろうけど、チームの日本人の中でもっとも脚が速い。そしてもっとすごいのは、出場機会があるのならば、ということで代走の準備をしていることだ。シーズン中も、登板機会がない試合の終盤になるとスパイクに履き替え、ベンチの前でダッシュを繰り返している伴ちゃんの姿がある。実際、昨シーズンには出たこともあったらしい。
こうした強い夢への意思がある選手だからファンの方からもものすごく人気がある。僕もその姿勢を見習っていきたいと強く思わされる選手のひとりだ。
四国アイランドリーグにいると、いつまで追えるか分からないという危機感の中で、本気で夢を追っているたくさんの選手たちの気持ちに触れることができる。僕はまだ一年目で、チームに貢献もできていないのに体はつねにパンパン。繰り返しになるけど、生活だって楽じゃない。それをずっと続けているだけで尊敬できる彼らは、もっと上を目指しているのだ。
魅力がいっぱいつまった四国アイランドリーグ、本当にぜひ一度見に来てほしいなと思う。
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