日常の〝悩み〟に終わりはない。「教師」と「旅人」二足の草鞋を履いてわかったこと【西岡正樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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日常の〝悩み〟に終わりはない。「教師」と「旅人」二足の草鞋を履いてわかったこと【西岡正樹】

「井の中の蛙大海を知らず」というが果たして・・・

コンポントムの朝陽

 

【旅が日常になってしまうと旅が面白くなくなる理由】

 

 旅が日常になってしまうと旅が面白くなくなるのは、多様な視点が持てなくなるからだということが、長く旅をしていて分かってきたのだが、また困ったことに、その多様さばかりに目がいってしまうと、逆に本質的な日常を見失いそうになる。所詮、私たちは「人間」である。旅であろうと日常の生活であろうと、私たちはどこでどのように生きていようと「人間」なのである。同じ「人間」が起こす事は、マキシムな世界で起きている事も、ミニマムな世界で起きている事も、大きく変わることはない。私が長く旅をしていて見えてきたことだ。

 教え子の話の中で見えてくる教え子自身の葛藤は、人間の「エゴ」や「保身」が渦巻く中で、自分の仕事がどれだけの人の幸せに繋がっているのか、ということのようなのだが、教え子の気持ちは理解できる。人間は誰もひとりでは生きていけないと無意識の部分で分かっている。だから、人間は成長すればするほど、自分自身の幸せと他の人の幸せを考えながら生きていかなければないことを意識する。そこに人間としての本質を見ているからこそ、教え子は自分の行いはこれでいいのかと悩むのだ。

 教え子のように「大海で泳いでいる者であっても悩みの根本は同じなのだ」と思える旅の道中。

 

文:西岡正樹

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西岡正樹

にしおか まさき

小学校教師

1976年立教大学卒、1977年玉川大学通信教育過程修了。1977年より2001年3月まで24年間、茅ヶ崎市内の小学校に教諭として勤務。退職後、2001年から世界バイク旅を始める。現在まで、世界65カ国約16万km走破。また、2022年3月まで国内滞在時、臨時教員として茅ヶ崎市内公立小学校に勤務する。
「旅を終えるといつも感じることは、自分がいかに逞しくないか、ということ。そして、いかに日常が大切か、ということだ。旅は教師としての自分も成長させていることを、実践を通して感じている」。
著書に『世界は僕の教室』(ノベル倶楽部)がある。

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