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「人を見る目を養え」長州力の教えと、フリーランスで生きていくための才覚とは(池野慎太郎)【篁五郎】

池野慎太郎氏

 

■独立後に異業種の仕事もするようになったきっかけは「力さん」

 

 カメラマンとして仕事をしていた2018年に長州力の長女と結婚。それがきっかけで「長州力のマネージャー」という仕事もするようになった。プロレスファンならご存知の通り、いつも仏頂面でピリピリとしている長州力とどんな話をしているのだろう。

 「力さんの第一印象はやはり「怖い」です。でも、実際に話すようになってみると凄く優しいし、頭の回転が速い。いつも冗談ばかり言っていて、僕たちを楽しませてくれています。力さんのYouTubeチャンネルで話しているのが普段の僕たちで、力さんがいつも会話をリードしてくれています。

 それと、長年プロレス界のトップにいたからその場の空気を読むのがすごく上手です。いつも「お前は空気を読め」と叱られています(笑い)。リング上の力さんしか知らない人に話すと驚かれますね」

 現在の長州力はタレントとして活躍しており、テレビ、C M出演に引っ張りだことなっている。X(旧Twitter)での投稿や、『相席食堂』でのグルメリポートで生まれた「飛ぶぞ!」のフレーズなど、レスラー時代には見せなかった顔を見せている。そんな長州力と接していて、印象的なエピソードについて聞いてみた。

 「真壁刀義さん(新日本プロレス)が、力さんの付き人をしていたときのエピソードを自分が実際に体験したときです。力さんは居酒屋さんとか色々なお店で外食してお会計をする時、「腰上げようか」と言うんです。でも、皆さんご存知の通り、少し滑舌が悪いせいで「串揚げください」と聞こえることがあるんです。それを目の前で見た時、「これがあの話か」と少し感動しました(笑い)」

 マネージャーとして一緒に行動する機会も多く、家族でもある池野さん。義理の父と一緒に仕事をしていて、どうしても忘れられない言葉があるという。

 「力さんから「いつか俺が写真集を出すことが決まったらお前に撮影してほしい」と言われたのは凄く嬉しかったですね。力さんが後楽園ホールで引退した大会のDVDのパッケージデザインに使われた写真は僕が撮ったものです。力さんの大事な大会に自分も参加できた証ですし、今でも誇りに思っています」

 長州力も現役晩年はフリーランスとして活動しており、現在の池野さんと同じような立場でもあった。家族の一人として心配している姿も見せている。

 「力さんから今でも言われるのが「人を見る目を養え」です。一緒に仕事する人をしっかりと見抜けないと酷い目に合うのを心配してくれているのだと思います」

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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