第9回 あまりカタいこといわないで レプリカの城清洲編
鈴木輝一郎 戦国武将の史跡を巡る 第9回
岐阜在中の歴史作家・鈴木輝一郎がゆるりとめぐる、戦国武将の史跡。
つい見落としてしまいがちな渋い史跡の数々を自らの足で訪ね、
一つ一つねぶるように味わい倒すルポルタージュ・ブログシリーズ開幕!
つい見落としてしまいがちな渋い史跡の数々を自らの足で訪ね、
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清州城にも天守が欲しいので……とりあえず作ってみました!
城は軍事施設なので、けっこういろんな目に遭います。
政権が変わると、反政府ゲリラに立てこもられると困るんで破却したり焼かれたり。
濠を埋め立てられたり、空襲にあったり。
戦国時代は徹底した地方自治・地方分権なんで、ころころ政権がかわる。
だから、名の通った場所でもけっこう廃城になってます。
信長が拠点にした清洲城も、徳川時代の早い時期に廃棄されました。
写真は「本物の」清洲城本丸跡。
祠と石碑が建ってます。
でも、交代した政権が落ち着いて、反政府運動が起こらなくなると、「やっぱりお城が欲しいねえ」となる。
まあ、そんな具合で「ここにお城がありましたよ」ってな公園にしたりする。写真は清洲公園です。
だけど、それではちょっともの足らない。一般的な感覚では「城=天守閣」。
とはいえ天守閣は織田信長が安土城で作って以降、普及したもの。
だもんで、名の通った城でも天守閣がないものはけっこうある。
そこで、「ないのなら作っちゃえ」ってな、豪華な実物大鉄筋コンクリート製のレプリカをつくってしまうのもけっこうある。
東海道新幹線の車窓からみえる清洲城もそのひとつ。
ここは天守閣の隣に本丸御殿も作ってあります。
場所は本物の清洲城址の隣にあります。
「ないもの作っていいのか」なんてあまりカタいことは言わないで。
清洲城は、
1)本物の清洲城址を散策して
2)レプリカの天守閣で織田信長の気分にひたる
と、一箇所で二度楽しめるんですから。
〈了〉