ポケモンカード欲しさに親の財布から1万円盗んだ小3の息子 どうやって俺は子供と向き合ったか?【村橋ゴロー】
小3になる息子が俺の財布から1万円を抜いていたことが、先日発覚した。
その週は何軒もの医者をハシゴし(中年あるある)、数千円の診察料と薬代を支払った記憶があった。それでも財布に万札1枚は残っていたはずだ。おかしい。でもまあ元々俺は金の管理はずさんだし、まあいっか。金が消えたモヤモヤを、そんな思いで誤魔化していた。そんななか、子どもが寝たあと妻と飲みに行く機会があった。食事をし、さあ会計となった際、財布を開いた妻がこう言った。「1万円がない!」。お金の管理には徹底している妻が言うのだから、確かなのだろう。そして先ほど述べたおれのモヤモヤと合致し、ひとつの答えが導き出された。はいビンゴー!ウチには3人しかいません。つーことは、息子がパクってましたー。飲み屋から家に戻った俺ら夫婦はまっ先に息子の財布を開けると、律儀にも二枚のレシートが出てきた。ポケモンカードを箱買いしたようで、計2万円。ブツ(証拠)はあがり、23時15分確保となったのであった。隣の寝室を覗くと容疑者となった息子は、天使のような横顔ですぴーすぴーと寝息をたてていた。
まだ3歳だった彼は「ぼく、大きくなったらパパとけっこんするー」とよく言ってくれていた。結婚の意味もわからず「大好きな人とするもの」と捉えていた彼は、よくそう言ってくれいた。そんなかわいい息子が、俺の金をパクるなんて。銭湯の帰り、電動自転車の後部座席から月を眺めていた息子が、「パパー、お月さまはずっとついてくるねー。お月さまはさみしいのかな? いっしょにあそんであげようよ」。そんなやさしい息子が。いや、オレは別に金をパクられたことにショックを受けているわけじゃない。それよりも、その季節がやってきたのかと。人間、成長するに連れ、大なり小なりやってくる、悪事に手を染める、そんな季節が彼に訪れただけなのだ。