「群衆に三輪車で突っ込んでいく少女とは」 ベトナムで私は考えた【西岡正樹】
ホイアンの少女も、橋の向こうの目的地まで行きたい(帰りたいのかもしれない)という思いが強く、そんな「自分の意志」にしたがって行動したにすぎないのかもしれません。子どもが後先を考えずに行動することはよくあることです。このような「自分の行動」が自分の望む結果にならなくても、たとえ失敗に終わったとしても、それは子どもにとって大きな経験値(力)になります。この経験値の積み重ねによって子どもが成長していくのだとすれば、「意志をともなう行動」こそが、子どもを成長させるために必要な行為だと言わざるを得ません(私の経験値による)。
子どもは社会の中で生きています。子どもはその時代の「社会の写し」です。子どもの成長は、子どもが生活する社会の人たちや出来事によって促されます。ホイアンの少女を見ていると、その姿と対極にある日本の子どもの姿が見えていました。子どもがチャレンジする場、冒険する場、失敗する場を奪っている日本の社会は、子どもの成長する場を奪っているのと同じでないではないでしょうか。今、私は思っています「我々は、『子どもの意志をともなう行動』をより求めるべきだ」と。
文:西岡正樹