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田原総一朗 「疑問を疑問のままで終わらせるのが好きじゃない」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q20.80歳を過ぎても朝までの討論番組の司会をし、多くの著作を出版できる秘訣は?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q20.80歳を過ぎても朝までの討論番組の司会をし、多くの著作を出版できる秘訣は?

 
 
 
 
 

 元来が好奇心の虫なんです(笑)。それが原動力になっています。とにかく今流行っているものとか、世の中の事象だとか、様々なことに興味が向いてしまって仕方がない。
 僕は毎朝、6つの新聞に目を通します。これは情報を仕入れるためではないんです。同じ事件や政治の問題にしても、各紙で取り上げ方や書き方、記事の論調の方向性が違うからです。新聞を読み比べていくと、なぜ、違いが生まれたのかという疑問が生まれてくるんです。
 例えば、要人の発言だったり、会見だったりすれば、発している言葉は変わらないはずですよね。それが新聞によって捉え方や表現の仕方が違ったり、また、見解が違っていたりする。
 そんな疑問を感じると、記事を書いた新聞記者に連絡して聞いたり、取材やインタビューしたことのある政治家や企業の経営者であれば、直接電話してみたり、場合によっては、直接会いに行くこともします。取材です。
 疑問を疑問のままで終わらせるのが好きじゃないんだな。これは子供の頃に終戦を迎えて政府の偉い人や教師が言うことが180度変わり、信用できないと思った事に由来している。自分の目で見て、耳で聞かないと、本当のことがわからない、確かめられないと思っているから。
 だから、仕事でもあり、好奇心旺盛の延長線上にあるんだけど、人と会って話を聞くことが大好きなんです。今でも多いときは1日に5から10人に会うこともありますよ。個人的な取材の時もあれば、雑誌やテレビ局が企画した、インタビューや対談のこともある。疑問を解くため、確かめるための取材が、新たな事象の発見になったり、興味を持ったりするきっかけになることもしょっちゅうです。
 僕は自分が、とりわけ才能がある人間だとは思っていません。好奇心に揺り動かされ、そこから生じた疑問や、問題点を自分が納得いく形で理解し、伝えたいと思っているだけです。だから、たくさんの新聞を読み、人と会う。多角的な意見や見識を知ることで、自分の中でも考えがまとまっていくんです。これは、若い人にもお勧めしますよ。そんな行動が、僕が「老人」と言われる年齢になっても、現役でジャーナリストをしていられる要因なんです。

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明日の第二十一回の質問は「AIの他に田原さんが気になるイノベーション的な動きはありますか?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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