「障害があるままに自由になる」 黒田如水の〝障害〟とリーダーの〝資質〟【大竹稽】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「障害があるままに自由になる」 黒田如水の〝障害〟とリーダーの〝資質〟【大竹稽】

障害があるままに自由になる 〜黒田如水の障害 第1回〜

 

◾️リーダーとしての資質とは?

 

 私としては、リーダーなるものの資質に欠けていると自分を振り返って痛感しますが、それでも事を成すためにはどうしてもリーダーとしての役目を自分が担わなければならない時もあります。特に、前例のないプロジェクトに挑む時は、行動によって他人を動かしていかなければなりません。 官兵衛のような智慧も胆力もない自分ですが、「自ら活動する」ところだけは肝に銘じています。現代のインフルエンサーのような影響力など自分は望みませんが、「自ら活動して他を動かしむるは水なり」を徹底することで、自分の身に相応な、制限つきの影響力を持てるはずだと信じています。

 「自ら活動して他を動かしむるは水なり」と「常に己の進路を求めて止まざるは水なり」のどちらからも、障害や逆境や不運をなるにまかせ自由に生きていこうじゃないか!という「如水」からのエールが聞こえてきます。

 「障害」なるものはしばしば忌避されるものです。障害は順風満帆だったキャリアを壊してしまうもの、なんて考えられているようですが、ずいぶん不自由な縄で自分を縛り付けてしまっていますね。障害などないようにふるまおうとする「いつでもポジティブ」なんて甘っちょろい人間もいますが、いったいどんな辞世の句を残すのでしょうか、哀れです。

 「障害!どんと来い!」と腹を据えられ時こそ、本来の自由に覚醒するのです。夏目漱石の言葉を借りれば、「則天去私(そくてんきょし)」になるかもしれません。運を天に任すとは、全力を出し切ること、分け隔てなくみなに誠実であることと表裏一体なのです。「あきめる」とは、そもそも「明らめる」こと。障害があればこそ、己の可能性が見えてくるのです。己の究明には障害が欠かせません。障害があるままに、障害を受け入れしかもそれを楽しみながら、自分の手足を使って道を進むからこそ、ようやく「自己」が明らかになるのです。

 

 次回は第三則、「障害にあい激しく其の勢力を百倍し得るは水なり」に注目します。私はこの句に自由の本質を認めるのです。

 

文:大竹稽

 

KEYWORDS:

「障害」?「才能」だ!

子供が授かっている力を開花させる学び場を横浜横須賀で創る

異色の哲学者・大竹稽の挑戦

「こども禅大学」クラウドファンディング始動

 

https://camp-fire.jp/projects/view/752443

 

 

「障害」診断は子供の才能を制限するものではありません。でも、お母さん達はそんなレッテルに悩み、「不安・不確実」な未来に悩んでしまいます。そんなお母さん達の心と考えをお手当てします。是非皆さまのお力添えをお願いいたします。

 はじめまして。「こども禅大学」代表、大竹稽です。2024年4月までに、教育関連・哲学関連の書籍を21冊、出版しています。

 大学では哲学研究を続けてきましたが、2014年の中退以降はお寺でのリアル寺子屋を神奈川や東京、京都で開いてきました。

 この教育活動の中、我が子が「障害」診断されたことで悩んでいるお母さん達とつながるようになってきました。お母さん達は、我が子の特性に気づいています。その特性は決して学習や仕事の「障害」になるものではありません。ただ、決められたスピードと平均的な成果を要求される集団での学習システムに、どうして子供がなじめないのです。そして転校や不登校を「選ぶ」ことになったり、あるいは中退を「選ぶ」ことになったりします。

 確かに、どの子供達も生きづらさを感じています。しかしそれ以上に、お母さんの悩みは大きいことを、生々しく知りました。そしてその悩みは、子供の才能を「束縛」「制限」させる方向に働いてしまいます。「困らないようにする」「できないことをなんとかする」という意識は、「出過ぎないようにする」へと導いてしまうからです。そしてさらにお母さんの悩みは深くなってしまいます。

 私は、著作や講演を通して、即効性だけを求めるテクニックに警鐘を鳴らし続けてきました。失敗や道草の大切さを伝えてきました。「秒速」「爆速」などと形容されるようなテクニックは、むしろ長い目で見れば手枷足枷、思考の歪みになることを誠心誠意、警告しています。

 しかし、相変わらず、成功やキャリアに縛られた即効性と成功実績をうたう学習塾がもてはやされています。でも、当事者のお母さん達は、それが本物の学習でないことに気づいています。当事者ではなくても、本物の学習を模索する大人達も増えてきました。

 今は時代の潮目です。未来を憂えるならば、この潮目に動かなければなりません。2024年の春、「こども禅大学」という看板を掲げ、お母さん達の悩みと心をお手当てし、どの子供にも備わっている自発力と向学心を開花させる活動を開始します。私の地盤である神奈川の知己に声をかけました。活動の賛同者・監修者として、信頼する禅僧や議員達が集ってくれました。

 そしてこのクラウドファンディングを介して、さらに多くの賛同者に出会えることを願っています。

 

大竹稽

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大竹稽

おおたけ けい

教育者、哲学者

株式会社禅鯤館 代表取締役
産経子供ニュース編集顧問

 

1970年愛知県生まれ。1989年名古屋大学医学部入学・退学。1990年慶應義塾大学医学部入学・退学。1991年には東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。2007年学習院大学フランス語圏文化学科入学・首席卒業。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を練磨するために、再び東大に入学し、2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程入学・修士課程修了(学術修士)。その後、博士後期課程入学・中退。博士課程退学後はフランス思想を研究しながら、禅の実践を始め、共生問題と死の問題に挑んでいる。

 

専門はサルトル、ガブリエル・マルセルら実存の思想家、モンテーニュやパスカルらのモラリスト。2015年に東京港区三田の龍源寺で「てらてつ(お寺で哲学する)」を開始。現在は、てらてつ活動を全国に展開している。小学生からお年寄りまで老若男女が一堂に会して、肩書き不問の対話ができる場として好評を博している。著書に『哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ』(共著:中央経済社)、『60分でわかるカミュのペスト』(あさ出版)、『自分で考える力を育てる10歳からのこども哲学 ツッコミ!日本むかし話(自由国民社)など。編訳書に『超訳モンテーニュ 中庸の教え』『賢者の智慧の書』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。僧侶と共同で作った本として『つながる仏教』(ポプラ社)、『めんどうな心が楽になる』(牧野出版)など。哲学の活動は、三田や鎌倉での哲学教室(てらてつ)、教育者としての活動は学習塾(思考塾)や、三田や鎌倉での作文教室(作文堂)。

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