伊藤万理華・ドラマ『パーセント』は障がい者を起用した、お涙ちょうだい物語ではない。日本の作品が踏み込まなかった、新しい道の開拓だ【小林久乃】
◾️落ち度=責任の行方は私たちにあった
『パーセント』が示した姿勢から、思い出した記述がある。兵庫県立神戸甲北高等学校による、障がい者のスポーツ事情について書かれたブログを偶然目にして、保存していた。そこにはイギリスの施設ガイドラインの説明があった。
「障害とは、障害を持つ人にあるのではなく、その人の行動を制限する環境の貧しさが作り出すもの。車いす利用者がスポーツ施設を使えないのは、車いすに乗っているからではなく、設計や運営、人的支援でそれを実現できないスポーツ施設側の落ち度になる」
おそらくブログを書いたのは高校の教師。このガイドラインを称賛し、高齢の母親と過ごす生活に不安を覚えるとも書かれていた。2021年に書かれた記述、読後に溜飲が下がる思いがした。落ち度=責任の行方は私たちにあったのか。
この一文の表現に値するのが『パーセント』だ。新しい道を進んだドラマが、どんな着地を迎えるのか楽しみでならない。どうか、他愛もない結末になりませんように。
※ドラマ『パーセント』はNHKオンデマンドにて配信中。最終話は6月5日(水)0:35〜より再放送予定
文:小林久乃(コラムニスト、編集者)