アメリカ球界が見る「KOSHIEN-甲子園-」
「日本の高校球児は投げすぎだ」は本当なのか。
3年目を迎えた「休養日」。今だからこそ考えたい日本野球の在り方。
甲子園を”知らない”メジャー
『松坂大輔、田中将大といったメジャーリーガーたちが若くして伝説的な名声を勝ち得た舞台として、〝Koshien〟はアメリカでも〝一部の〟関係者にその名を知られるようになった。済美高校の安楽智大投手が2013年の春の選抜で5試合で772球というアメリカでは考えられない球数を投げた後には、ESPNの番組と雑誌で特集が組まれる事態にまで発展。グローバルな視点に定評あるYahoo! Sportsのジェフ・パッサン記者も、数度にわたって日本の高校生投手たちの投げ過ぎに警鐘を鳴らすようなコラムを書いてきた。
もっとも、〝一部の関係者にその名を知られるようになった〟のは事実ではあっても、日本の甲子園カルチャーはアメリカ球界の誰にとってもお馴染みというわけではまったくない。ESPNに取り上げられた直後は反響も大きかったが、ネット全盛ゆえにニュースのサイクルが早まった現代では忘れられるのも早い。
アメリカ国内の大半の記者、関係者は〝Koshien〟の名前を聞いたことがあっても、そこで〝投げ過ぎ〟〝過密日程〟が問題視されていることは知らない者ばかりである。
だから「甲子園についてどう思うか? プロ入り後の故障に関係があると思うか」と質問したところで、彼らから明快な言葉は返ってこない。逆に「甲子園ではいったい何が行なわれているんだ?」と聞き返されてしまうくらいだ。』
当たり前といえば当たり前のことであるが、われわれの多くがアメリカのハイスクールベースボール事情について詳しくないように、メジャーリーグ関係者においても「甲子園」は馴染みのあるものではないのだ。これを踏まえたうえで、杉浦氏はこう続ける。