アメリカ球界が見る「KOSHIEN-甲子園-」
「日本の高校球児は投げすぎだ」は本当なのか。
3年目を迎えた「休養日」。今だからこそ考えたい日本野球の在り方。
メジャースカウトは「獲得を敬遠する」
『そこで、甲子園について、「勝利のためにはエースを3連投させることも辞さない」というカルチャーを説明すると、ア・リーグ某チームのスカウトからはこんな答えが返ってきた。
「特に高校生は、2〜3イニング、いやたとえ1イニングの登板だとしても、その翌日は投げさせるべきではない。2、5、7イニングだろうが、腕を使った直後には休みが必要なんだ。過酷な連投を経験した選手が長持ちするとは思えないから、現実的に獲得するかを考えたとき、私は敬遠する可能性が高くなる」
「日本の高校生が若いうちから〝甲子園〟という大舞台に立ち、貴重な経験を積むことが、その選手のキャリアにプラスに働く部分もあるだろう。しかし、15〜17歳の高校生の腕の筋肉、靭帯はまだ十分に発達していない。リトルリーグの投手たちがカーブ、スライダーといった変化球を投げ過ぎるのですら私は賛成はしない。後のキャリアで響いてくるはずだからね」
「アメリカの高校やカレッジでも、目先のゲームに勝ちたいがために連投とか無理な投手起用をする学校がないわけじゃない。私はそういったスクールを〝アウトロー(無法者)〟と呼んでいるんだ。彼らは選手たちの健康と将来を考えているとは思えないからだ。私の考えに反するからといって、日本のシステムを批判するつもりはないが、ア・リーグの某チームで選手の育成担当をしていたときには、私は若い投手には2日間の連投すら絶対にさせなかったよ」
このスカウトからはかなり強硬にネガティブな答えが返ってきた。
また、自身もアメリカの高校、大学で投手を務め、トミー・ジョン手術の経験者であり、(中略)NY1のザック・タワタリ氏も、基本的にはポジティブには捉えていない。
「僕が高校の頃は1週間にだいたい1試合で、ブルペンでの投球練習は1週間に1度、30球を投げるだけだった。そんなアメリカの学生と比べ、聞いている限り、10代の日本人投手は10倍は多くの球数を投げるんじゃないかな。〝甲子園〟のような全国レベルのトーナメントがあることは学生たちには素晴らしい目標だと思う。ただ、アメリカで目先の勝利のために連投させたら、選手の親が黙っていないだろうね」
以上のことをまとめると、アメリカ球界においては、高校など身体ができていない段階での、
・過酷な連投
・変化球の多投
・投げ込み
・勝利至上主義
は、肯定されず受け入れられないという事実が見えてくる。このような意見は、日本において高校野球の方法論に対して批判する人々と似通っているであろう。』