「綺麗事」が「本当に綺麗なこと」になる【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第21回 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「綺麗事」が「本当に綺麗なこと」になる【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第21回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第21回

 

【毎日の庭仕事】

 

 先週はちょっとしたロングドライブに出かけた。しかも、クラシックカーで。調子が良く信頼性も高まったためだ。いろいろ部品を交換し、気になる部分を地道に直してきた結果、4年まえに購入して以来、現在が最も好調である。数年乗って遊ぼうと思って買ったのだが、明らかに買ったときより高価値になったので、今は手放す気になれない。もっと楽しもうと考えている。

 相変わらず庭仕事が忙しい。樹の移植作業が続いていて、トータルで40本くらい移植した。このほかに、枯枝や枯葉を拾い集めて焼却する作業、芝生のメンテナンス(芝刈りや肥料撒き)、草刈り、雑草取り、蟻の巣対策、さらに、庭園鉄道のメンテナンスがある。敷地内から出なくても、腕時計による測定では、毎日1万歩は軽く歩いている。

 犬の世話もある。朝夕の散歩はもちろん、遊んでやらないといけないし、ブラッシングやシャンプー、そして食事の用意なども。

 なかなか工作に時間が取れないけれど、それでも毎日少しずつ、できることを見つけて進めているうえ、新たなプロジェクトも2つスタートした。

 

庭園内の方々にあった9本のブルーベリィの樹を移植し、一箇所に集めた。まだ小さいものの、実が生って食べられる。森林の葉が80%ほど広がり、ドームのように庭園を覆っている。写真の木漏れ日の大きさでそれがわかる。

 

文:森博嗣

 

KEYWORDS:

 

✴︎森博嗣 新刊『静かに生きて考える』絶賛発売中✴︎

 

 

森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。

 

 

 世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?

 森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。

 〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。

 

オススメ記事

森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

静かに生きて考える
静かに生きて考える
  • 森博嗣
  • 2024.01.17
道なき未知 (ワニ文庫)
道なき未知 (ワニ文庫)
  • 博嗣, 森
  • 2019.04.22
新版 お金の減らし方 (SB新書 657)
新版 お金の減らし方 (SB新書 657)
  • 森 博嗣
  • 2024.06.07