「ごっつぁんゴール」と「スーパーゴール」
得点を重ねる選手に必要な条件とは――岩政大樹が書き下ろす「現役目線」
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■続け続けて10年ぶりに生まれた「ごっつぁん」
例えば、僕は練習から、クロスに対してニアサイドに飛び込むとき、頭を越えた場合は即座に折り返しのボールやシュートのこぼれ球に反応するためにゴール前につめるようにしています。その形から、前述したギラヴァンツ戦でのゴールが生まれました。しかし、こうした形で僕がゴールをしたのは何年ぶりだったでしょうか。記憶では10年近くなかったように思います。
小さい頃は疑問に思っていた"ごっつぁんゴール"の価値は、プロに入りサッカーを学んでいくにつれて、とても大きなものだと知ることになりました。
僕はプロに入り、たくさんのストライカーと出会ってきました。その中で、プロに入ってストライカーとして成功する選手とそうでない選手の分かれ目として、こうした“簡単に見える”ゴールにどれだけ執念を燃やせるか、が大きなポイントとしてあるように思います。それはつまり、「スーパーゴール」を求めない、ということです。
サッカーにおいてスーパーゴールは常に人を魅了し続けています。サッカーの醍醐味の一つでしょう。スポーツニュースを見れば、いつもどこかでスーパーゴール集が流されます。僕たち選手もそれを見て憧れたり、練習してみたりすることは変わりません。
ただ一方で、スーパーゴールとは、なかなか決まらない形だからスーパーゴールだということを忘れてはいけません。多く決まるような形はスーパーゴールにはならないのです。つまり、たくさんのゴール数を目指すのであれば、スーパーゴールを求めていてはいけません。
しかし、プロに入るような選手の多くは、プロに入るまでは“スーパー”な選手だったでしょう。何人も交わしてゴールを決めたり、相手の上からヘディングをたたき込んだり、豪快なシュートもバンバン決めていたのではないかと思います。