「ごっつぁんゴール」と「スーパーゴール」
得点を重ねる選手に必要な条件とは――岩政大樹が書き下ろす「現役目線」
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
スーパーゴールを求めないこと
プロに入ったとき、そうしたスーパーゴールを決めていた選手たちは、プロに入るまでに抜きん出た存在であればあるほど、それまでの自分のゴールの形から抜け出せず、それが落とし穴になってしまうことがあるように見えます。
プロになれば、対戦相手もプロになります。それまでの形ではそうそうゴールはできなくなります。自分の得意な形を諦める必要はありませんが、少し微調整を加えなくてはいけません。
つまり、プロに入るまでのゴールの形と、プロに入ってからのゴールの形を自分の武器の中で“具体的に”変化させる必要があるのです。
これはストライカーだけに言えることではありません。中盤の選手もそうですし、僕のようなセンターバックも同じです。
僕は大学までのゴールの取り方とプロに入ってからのゴールの形は意図的に変えています。なぜならゴールを取りたいからです。というよりも勝ちたいからです。
「凡事徹底」。
この世界でよく使われる言葉です。シュートを打ったら詰める、打たれたら戻る。先に触る、触らせない。走る、ついていく。
スーパーゴールに隠れたサッカーの本当の本質の部分と言えるかもしれません。
日本代表やチームの中心に上り詰めていくような選手は、練習においてのほんの1本を大切にしています。サッカーはミスが多いスポーツで、確率から言えば可能性は低く、報われることは少ないものなのに、です。
いや、確率が低いからこそ、そうしたことが大きな違いになるのでしょう。
一つのゴールや一つの勝利は一つ一つのこだわりの結果です。そして、コンスタントな結果とは“続けること”の産物です。
スーパーゴールもそうでないゴールも、ゴールにはいつも意味があり、そこにサッカー選手が本当に日々取り組んでいるものがあると僕は思います。