自民党連戦連敗で見えてきた都知事選後の日本【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第65回
小池百合子は初当選の際、「永田町には猛獣や珍獣、それに狸もいらっしゃる……」とカメラの前で言ったが、現在都庁には人を「化かす」古狸が居座っている。都知事選には珍獣の類が集結。周辺のいかがわしい連中もそわそわしだした。『おい、小池! 女ファシストの正体』『日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』(KKベストセラーズ)の著者適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第65回。
■小池百合子の人間性
1992年、小池百合子は初当選。初登院の際には、サファリジャケットに豹柄のミニスカート姿で現れ、記者たちに言った。
「永田町には猛獣や珍獣、それに狸もいらっしゃると聞いたので、こんな恰好で来ました」
すべては計算ずく。小池の視線は常にメディアのカメラに向けられている。国民ではない。
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近いうちに小池は某所にある安い焼鳥屋にカメラマンを連れて現れるかもしれませんね。選挙が近づくと、急いで庶民派ぶるのが、いつもの小池のやり方。
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2016年の都知事選初当選時に掲げた公約「七つのゼロ」は、達成ゼロ、実現ゼロ、責任感もゼロ、永遠のゼロ。それについての言い訳も嘘と論点ずらしによる誤魔化しばかり。すでに尻尾が飛び出ている古狸に何度も化かされるのはやめよう。
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関東大震災の朝鮮人虐殺追悼文を出すのを止めた小池。いろいろ誤魔化していたが、都にヘイトスピーチ発言を認定された団体「そよ風」(毎年追悼式の隣で虐殺否定集会を開催)の講師をしていたことが発覚。小池にとって「ファクト」はなんの関係もない。「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」と繰り返し、情報は徹底して隠蔽。IR関連文書などをほぼ「黒塗り」状態で情報開示したことを批判された東京都は、今度は「白塗り」にして出した。
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原発推進派だった小池が2017年に「脱原発」を打ち出したのも、小池にとって言葉は人を「化かす」道具にすぎないからだ。「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる」といった過去の発言を公式サイトから削除したのも、矛盾は後から修正すればいいと考えているからだ。市場移転問題においても、小池は一貫して「事実」を無視した。専門家の検証に難癖をつけ、社会不安を煽り、「総合的な判断で決める」などと言いながら、問題を先送りにした。
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住民の納得が得られないまま、小池は神宮外苑の一部の公園指定を解除し、高層ビルが建てられるように変更。事業者の再開発を認可した。文字通りの「人でなし」。それをよく示すあまりにも有名なエピソードがある。拉致被害者家族連絡会元事務局長の蓮池透氏のツイートである。
《2002年9月17日、涙の記者会見をしている横田さんご夫妻の真後ろに立っていたのは小池百合子氏。
終了後、一度出て行った小池氏、戻って来て一言。「あったあ!バッグ」「私のバッグ、拉致されたかと思った」
あれ以来彼女のことは信用していない》
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自民党は都知事選で小池を支援するとのこと。自民党は市長選や区長選で連戦連敗中。この先、統一教会の関係者でもある都連会長の萩生田光一が小池の足を引っ張る可能性は高い。実際、小池サイドから「裏金事件のイメージを引きずる自民との連携はマイナスでしかない。知事は突っぱねるべきだ」(都民ファーストの会関係者)との声も上がっているという(「日刊ゲンダイDIGITAL」6月5日)。
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