俄然注目のドラマ『燕は戻ってこない』 都会で暮らす地方出身者の貧困と〝代理出産〟の現実と心情【小林久乃】
◾️一般的ではない、代理出産の世界だが・・・
代理出産も卵子提供も、日本の法律では認知されていない。近年では著名人だとタレントの向井亜紀さん、元プロレスラーの高田延彦さん夫妻がアメリカの女性に代理出産を依頼して、双子の男児が誕生した。ところが日本では親子関係が認知されず、子どもとは特別養子縁組になったと聞く。離婚したものの、タレントの丸岡いずみさんと、映画コメンテーターの有村昆さんもロシア人の代理母に出産を依頼している。いずれにしても日本産科婦人科学会は認めていない。自分たちの遺伝子が流れていても、我が子であると堂々と言えないのだ。
そんなポピュラーではないことを、敢えてドラマの題材に取り上げているのが『燕は戻ってこない』。地上波ドラマではそんなに多く扱われていない題材だ。検索してみると国内にも卵子提供などを行う会社は存在する。とはいえ、予算も含めて現実的ではない。制作陣は異なる世界観、貧困と代理出産と格差を桐野夏生さんの原作を通して点でつないだ。この熱量がすごいなあと(上から目線で申し訳ないが)感心してしまう。
おそらく視聴する人によって、見えてくる角度は全く変わると思うので、ぜひ物語の世界観を確認してみてほしい。
※『燕は戻ってこない』は毎週火曜、22時〜放送。その他、再放送やNHKプラス、NHKオンデマンドにて配信中。詳しくは公式ホームページにて
文:小林久乃(コラムニスト、編集者)