ラグビー日本代表「イングランドに惨敗」試合内容より深刻な〝寂しい観客席〟
試合内容も残念ながら芳しくなかった。エディーHCが掲げた“超速ラグビー“という新たな戦術は影も形もなく、むしろイングランド側にその称号を奪われた格好だ。
「日本が運動量で上回ったのは前半の10分だけでした。徐々にスタミナが切れて、逆に相手のバックスにスピードの差を見せつけられました。特に、イングランドの司令塔マーカス・スミス選手がステップを駆使してトライを奪った場面など、彼の方がよっぽど“超速“でしたね(笑)」と、この編集者は苦笑いを浮かべる。
「唯一光っていたのは、スクラムを組むフロントロー(最前列の3人)でした。ほとんど代表歴がない若手選手たちが、経験豊富なイングランドのフォワードを押し込む場面も見られました。ここは収穫でした」
再び集客の話題に戻り、編集者はこう続ける。
「チケット価格の見直しは当然必要ですが、それ以上に根本的な問題としてPRが不足していると感じます。この日に代表戦があることを、一般の方々にどれだけ周知できていたのでしょうか。有名タレントをアンバサダー(広告塔)に起用するといった空中戦に頼るのではなく、地道な草の根のPR活動を真剣に考えるべきです。日本ラグビー界は2019年の自国開催W杯での成功体験から抜け出せず、『ラグビー日本代表はすごいんだ。後は有名タレントや大企業と組めば、観客は自然に集まるだろう』とあぐらをかいているように見えますね」
今年の日本代表には、さらに厳しい戦いが待ち受けているという。年内さらなる強敵、フランス、ニュージーランド(オールブラックス)などとの対戦も予定されているが。
「エディーHCは今年1年、たとえ負けが続いても、若手選手を積極的にテストマッチ(各国代表チーム同士の試合)という大舞台で起用して育成していく方針のようです。しかし、イングランド戦のような大差での敗戦が続けば、ファンはさらにスタジアムから遠のいてしまう可能性があります」
このような状況を考えると、やはり勝利を重ねることが重要になってきそうだ。7月、国内でジョージア、イタリア戦があるが、ここは2連勝といきたい。ラグビー人気が日本に定着するかどうか、今年は正念場の1年となる。
取材・文:BEST T!MES編集部
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