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あなたはどのように信じますか?【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第23回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第23回

 

【神も医者もサプリも信じないけれど】

 

 どういうわけか、7月は来客ラッシュとなった。たぶん、暑い国から涼しい国へ人々が流れる「熱伝導」という自然現象だろう。もっとも、「暑いなら家から出るな」といえないのが、経済とか商売とかで成り立っている都会の宿命といえる。

 今がその「避暑」訪問シーズンの真っ只中。毎週2組くらいのゲストが訪れる。僕は駅まで迎えにいったりする程度だが、奥様(あえて敬称)はかなり忙しいはず。ガーデニングに加えての忙しさだから、心配しつつ、なにか手伝えることがないか、と考えるけれど、させてもらえることはほとんどない。余計な口出しをしないこと、くらいしか思いつけない。

 庭の掃除関連のワークが毎日、僕は3時間くらい、彼女はその倍以上している。僕はあとは鉄道に乗って遊んだり、クラシックカーを整備したり、工作室でごそごそとなにかを作っている。今のところ、二人とも健康なのがありがたい。神様も医療もサプリも信じていないのに、いたって幸運なことである。

 

書斎にある書棚には本が並べてあるが、その手前に模型やフィギュアを置いたため、本は取り出せなくなった。隣のホビィルームとつながっていて、夏の昼間だけ、ドアを開けて風を通すことにしている。ここへ入ってくるのは僕以外には犬一匹だけ。

 

文:森博嗣

 

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森博嗣 極上エッセィ好評既刊

静かに生きて考える   Thinking in Calm Life

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森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。

 

 

 世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?

 森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。

 〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。

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森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

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