安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~

日本史の実行犯 「あの方を斬ったの…それがしです」

本能寺跡

 一般的にはマイナーな安土桃山時代の武将・安田国継(やすだ・くにつぐ)。実はこの武将は「本能寺の変」において、織田信長に一番槍をつけ、信長の小姓の森蘭丸を討ち取ったと言われている武将なのです。

 通称を「作兵衛(さくべえ)」と名乗った国継は、美濃国安田村(岐阜県海津市)に生まれ、同じく美濃出身の明智光秀の配下の斎藤利三(としみつ)に仕えました。槍が得意だったと言われる猛将で「明智三羽烏(さんばがらす)」に数えられるほど、各戦で活躍したようです。

 そして、天正10年(1582年)6月2日未明―――。明智軍の先鋒として、織田信長のいる本能寺に攻め込みます。国継が寺へ侵入した頃、信長は小姓・森蘭丸の「名もない武士に討たれてはなりませぬ」という進言を受け、障子を閉めて屋敷の奥へ進もうとしていました。国継は、偶然その姿を目にします。

「信長公、返させ給へ!」

 国継は叫びながら必死に後を追い、縁側へ飛び乗り、障子越しに槍を突き出しました。

(捉えたか…!)

 国継の槍は、信長の体を鋭く突いたと言われています。そして、障子を突き破って信長を討とうとしたその時―――。

 
次のページ国継の行く手を阻んだのは……

オススメ記事

長谷川 ヨシテル

はせがわ よしてる

歴史ナビゲーター、歴史作家。埼玉県熊谷市出身。熊谷高校、立教大学卒。漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。テレビ・ラジオへの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦! 小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)の第3話に一般エキストラとして14秒ほど出演。また、金田哲(はんにゃ)、山本博(ロバート)、房野史典(ブロードキャスト!!)、いけや賢二(犬の心)、桐畑トール(ほたるゲンジ)とともに、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成、歴史ライブやツアーを展開中。トレードマークは赤い兜(甲冑全体で20万円)。前立ては「長谷川」と彫られている(特注品で1万5千円)。著書に『ポンコツ武将列伝』(柏書房刊)『マンガで攻略! はじめての織田信長』(原作・重野なおき、金谷俊一郎との共著、白泉社刊)がある。雑誌『歴史人』の人気ウェブ連載をまとめた『あの方を斬ったの…それがしです ~日本史の実行犯~』が3月19日(月)配本!


この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

あの方を斬ったの…それがしです
あの方を斬ったの…それがしです
  • 長谷川 ヨシテル
  • 2018.03.20