安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~

日本史の実行犯 「あの方を斬ったの…それがしです」

「待て!森蘭丸を見知りたるか!」

 信長の危機を察知した蘭丸が、国継の行く手を阻みました。蘭丸が懸命に突きだした十文字槍によって、国継は股に槍を受けて負傷してしまいます。しかし、国継は蘭丸の槍の穂先を掴み、屋敷の縁側から引きずり下ろします。そして、蘭丸が態勢を崩したところを、国継は下から刀で突きました。

「森蘭丸、討ち取ったり!」

 蘭丸を討ち取った国継は、信長の首を取りに向かおうとしますが、既に信長は燃え盛る屋敷の奥へ姿を消していました。

「信長公!返させ給へー!!!」

 国継が二度と信長の姿を目にすることはありませんでした。『信長公記』によると、戦闘中に肘に槍傷を負った信長は最期の姿を見せまいと、屋敷の奥深くに入り、自害して果てたと言われています。

 その後「山崎の戦い」で光秀が秀吉に敗れて主家の明智家が滅亡すると、秀吉からの探索を逃れるため、国継は名を「天野源右衛門(あまの・げんえもん)」と改めます。そして、森長可(ながよし:蘭丸の兄)や羽柴秀勝(信長の四男)、蒲生氏郷(信長の婿)などに仕えますが、各大名家で問題を起こし、出仕と出奔を繰り返してしまいます。

 それでも大名からの仕官の話は尽きず、九州へ渡り、武勇で知られる柳河(福岡県柳川市)の大名・立花宗茂に仕えました。宗茂の家臣として「朝鮮出兵」などに従軍しますが、立花家の譜代家臣といさかいを起こして、再び出奔することになってしまいました。

 
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長谷川 ヨシテル

はせがわ よしてる

歴史ナビゲーター、歴史作家。埼玉県熊谷市出身。熊谷高校、立教大学卒。漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。テレビ・ラジオへの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦! 小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)の第3話に一般エキストラとして14秒ほど出演。また、金田哲(はんにゃ)、山本博(ロバート)、房野史典(ブロードキャスト!!)、いけや賢二(犬の心)、桐畑トール(ほたるゲンジ)とともに、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成、歴史ライブやツアーを展開中。トレードマークは赤い兜(甲冑全体で20万円)。前立ては「長谷川」と彫られている(特注品で1万5千円)。著書に『ポンコツ武将列伝』(柏書房刊)『マンガで攻略! はじめての織田信長』(原作・重野なおき、金谷俊一郎との共著、白泉社刊)がある。雑誌『歴史人』の人気ウェブ連載をまとめた『あの方を斬ったの…それがしです ~日本史の実行犯~』が3月19日(月)配本!


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  • 長谷川 ヨシテル
  • 2018.03.20