「チョコミントブーム」と「推し活」の相似点 “癒し系”なにわ男子・大橋和也の存在から見えてくるもの【梁木みのり】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「チョコミントブーム」と「推し活」の相似点 “癒し系”なにわ男子・大橋和也の存在から見えてくるもの【梁木みのり】

 

 アイドルという存在自体に限らず、アイドル個人を見ても、チョコミントのような現象が起こっている例がある。

 たとえばなにわ男子。人気だと思われそうなメンバーを挙げると、デビュー時のセンターは西畑大吾、一般的な知名度ダントツ1位は道枝駿佑だ。

 しかし、コアファン内で道枝と同じくらい、いやそれ以上に人気とされているのが、「プリン食べすぎてお尻プリンプリン」の自己紹介ギャグで知られる、癒しマスコット系の大橋和也なのだ。

 大橋は正統派の美形でも、正統派のイケメンキャラでもないが、だからこそファンの心をくすぐって離さない独自の魅力がある。確かに、誰にとってもわかりやすく美形の道枝なら「イケメンだね」で片付いてしまうが、ちょっとズッコケ系の大橋の魅力に人知れず気づいたら、「私が応援しなきゃ」と思ってしまいそうだ。

 雑なたとえにはなるが、西畑がアイスのバニラ味、道枝がイチゴ味、そして大橋がチョコミント味なのではないか。

 

 また、アニメ化もされた人気漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』で主人公のえりぴよが推しているアイドル・舞菜は、7人グループの中でもダントツで人気最下位という設定だ。

 人気がないからこそ推しがいがあり、そのファン活動は、ドラマチックなストーリーとして描くことができる。

 アイドルはセンター級の美形だけが正解ではない。主役にはなれそうもないアイドルにこそ、ファン心理は掻き立てられるのだ。

 

 チョコミントはこういった、逆境の中にいる誰か・何かを応援したい、そして一緒に応援してくれる味方と連帯したいという、“推し”ブーム時代の消費者心理を、食べ物のフィールドであぶり出している存在ではないだろうか。

 似た食べ物としてはパクチーが思い浮かぶが、ヘルシーな野菜に対して、やはりスイーツの依存性は段違いだ。キラキラした衣装をまとっているかのように。

 きのこの山vsたけのこの里論争も、応援・連帯が激化する場だ。しかし、二派で争う構図はアイドル界でも少し古い(KinKi Kidsの光一派・剛派、モーニング娘。の辻派・加護派、KAT-TUNの赤西派・亀梨派、AKB48の前田派・大島派など)。

 〈チョコミン党〉こそ、「世の中の大半の人に理解されない」という逆境の大海原へ漕ぎ出し、隠れている仲間をどんどん見つけ出して連帯を広げる、強力なファンダムだ。彼らの“推し活”は、まだまだ続いていく。

 

文:梁木みのり

 

KEYWORDS:

オススメ記事

梁木みのり

はりき みのり

ジェイ・キャスト所属ライター

ライター

Z世代。ジャニヲタ歴12年。K-POPオタク歴まだ2年。ジェイ・キャスト所属ライター。早稲田大学卒。

この著者の記事一覧