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注目してほしいけれど目立ちたくない【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第24回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第24回

 

【ゆったりとした晩夏】

 

 8月になった。怒涛のゲスト・ラッシュも一段落。しばらくゲストの予定はなく、のんびりと過ごせる。奥様(あえて敬称)は、僕の3倍くらい7月が忙しかったはず。残念ながら手伝えるようなことがなく、それこそ日本で流行っている「見守る」ことしかできなかった。なんとか乗り越えることができたようなのでほっとしている。

 工作は、戦車や自動車の模型を幾つか作った。工作対象として、鉄道や飛行機にこだわっているわけではない。共通しているのは大きいこと。戦車は1/10、自動車は1/4スケールだから場所を取る。大きめのおもちゃが好きなのは、どうしてだろう?

 そういえば、僕が担当している犬も、森家史上最大のサイズに成長してしまった。なにもかも大きい方が良いのかというと、家や土地はそのとおりだが、自分が運転する実物の自動車だけは、いつもできるだけ小さいものを選ぶ。日本の軽自動車でも、まだ大きすぎると感じるくらい。最近の自動車って、何故こんなに大きくなってしまったのか、と嘆いてもいる。

 

木陰で待機中の列車。先頭が12号機、その後ろが2号機。機関車を重連にして運行している。いずれも、ボール紙製のボディだが、2号機などは、既に25年ほど走り続けている。

 

文:森博嗣

 

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静かに生きて考える   Thinking in Calm Life

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森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。

 

 

 世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?

 森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。

 〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。

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森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

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