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ディズニーランドのある街は治安が悪い?

犯罪発生率からみたカジノとディズニーランド

ディズニーは被害者、カジノは加害者

犯罪発生はギャンブル依存症者だけによって引き起こされるわけではない。米国においてはアルコール中毒や麻薬中毒者による犯罪が多い。ギャンブル資金・飲み代・麻薬代欲しさで犯罪が誘因されるからである。また貧困率や失業率の高さなどの経済的要因からも犯罪発生数は大きな影響を受ける。

そして当然警察力などの治安面の取組みの水準によっても犯罪発生は左右されることになる。このような多様な犯罪要因を無視して、意図的な事例を抽出して一般的な結論を引き出すことは到底科学的な手法とは言えない。

 

さらに犯罪の内容を見るとオーランド市とアナハイム市で窃盗罪の中での「盗み」の多さが目につく。これは、観光客をターゲットにした置き引き等の犯罪の多さを示すものと言える。ディズニー等の観光エリアでは観光客が犯罪者になるのではなく犯罪の標的となっていること、そしてこれらの市における犯罪数の多さは観光客狙いの犯罪行為によるものと考えられる。

この点で、客がギャンブルで金を使い果たし、果ては借金を重ねることで、そこから犯罪者に転じる確率の高いカジノとは全く性格が異なるのであり、ディズニーとカジノをただ犯罪数という面だけで同列に論じるのは誤っている。犯罪の標的ではなく、犯罪者を増大させる点にカジノの特質があるのである。

<『カジノ幻想』より抜粋>

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鳥畑 与一

とりはた よいち

1958年生まれ。静岡大学人文社会科学部経済学科教授。大阪市立大学経営学研究科後期博士課程修了。専門は国際金融論。著書に『略奪的金融の暴走:金融版新自由主義のもたらしたもの』(学習の友社、2009年)、「グローバル資本主義下のファンド」(野中郁江他編著『ファンド規制と労働組合』序章、新日本出版社、2013年)、「カジノはほんとうに経済的効果をもたらすのか?」(全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会編『徹底批判!! カジノ賭博合法化―国民を食い物にする「カジノビジネス」の正体』第2章、合同出版、2014年)などがある。


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  • 2015.04.09