日本はなぜここまでおかしくなったのか? そのシンプルな理由【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第68回
国家の根幹が完全に壊れた。「法律では禁止されていない」と言いながら、グレーゾーンを利用して汚いことを続ける連中が、社会の第一線でやりたい放題やっている。典型的なのは維新の会だ。ついには愛知県で裁判所によるガサ入れが発生。兵庫県知事の座にしがみつくパワハラの「おねだり野郎」に関しては、兵庫県警も動き出した。新刊『自民党の大罪』(祥伝社新書)で「日本の悪の構造」に言及した作家・適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第68回。
■「日本ってこんな国だったっけ?」
最近、かなり疲れてきた。毎日、暑いし。かといって絶望するわけでもない。今さら絶望するほど、おぼこでもない。日本が完全に狂い始めたのは、正常な人間なら誰もが気づいているが、小手先の対応でなんとかなるようなものでもない。
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ぬるい浴槽のある銭湯によく行くが、変な客もいて「日本ってこんな国だったっけ?」と思うことが多い。浴槽で顔や頭を洗ったり、タオルを入れたり、ひどいのになると濡れたタオルを絞ったりする。子供が浴槽で泳いだり、潜ったりしているのに、目の前にいる親は注意をしないどころか一緒になって遊んでいる。脱衣所どころか浴槽でスマホを使っている奴もいた。老人のマナーもひどい。あまりにもひどい奴には注意したこともあるが、そいつが仮に反省しても、次から次へと変な客が湧いてくるし、逆切れされるケースもあるので面倒臭い。かといって、見て見ないフリをするのも精神的に疲れる。
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脱衣所に店員の若者がいたので、「顔や髪の毛を浴槽につけるな、タオルを浴槽に入れるな、浴槽で泳ぐなという注意書きの張り紙をしたほうがいいんじゃないかな」と言うと、その後、新しい張り紙があった。その店員の対応は素晴らしいが、問題はその後である。たしかに浴槽で泳ぐ子供は減った気がする。気になったのは、父親が子供に「ここで泳いではだめだよ。あそこの張り紙に書いてあるだろ」と注意していたこと。
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モラル、公共、マナーの問題ではなく、「張り紙に書いてあるから」という理由で禁止するのは、逆に言えば、「張り紙に書いてないことはやってもいい」という発想につながる。既視感があったが、「法律で禁止されているわけではない」と言いながら、グレーゾーンを利用して汚いことを続ける連中だ。こうした連中の台頭も、国の衰退と密接な関係がある。
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4月30日、日本維新の会の愛知県総支部がおかれるビルに、裁判所の「ガサ」が入った。ガサ入れを行うのは基本的に警察や検察であり、裁判所によるガサ入れは異例だという(「現代ビジネス」)。これは衆議院議員の岬麻紀のパワハラ問題を巡って、元維新の市議が、愛知維新の会代表の浦野靖人を訴えた件に関連するもの。岬といえば、選挙公報に虚偽の経歴を記載したいわくつきの人物だが、市議のもとには、岬の秘書、運転手らから「パワハラ」「公私混同」「机をたたき相手を追い込む」といった苦情が寄せられたという。この市議も岬から土下座を強要されたという。
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都合の悪い指摘をされると、気が狂ったかのように怒鳴りだし、机をバンバン叩くような奴はたまにいる。昔知り合いにそういう人がいたが(某大学院教授)、あまりにもアホなので縁を切った。
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維新のパワハラと言えば、「おねだり」で話題になった兵庫県知事の斎藤元彦だ。吉村洋文の元部下で、選挙では維新が推薦した。
おねだりというより「たかり」。コーヒーメーカー、トースター、ロードバイク、ゴルフのクラブ、スポーツウェア、ワインなどを受け取ったとされるが、他にも多数の疑惑が噴出。側近の県幹部職員4人が選挙期間前から事前運動を行い論功行賞で昇任したとか、プロ野球の阪神とオリックスの優勝を祝し計画したパレードに関し、信用金庫の補助金を増額し、キックバックで寄付させた疑惑、政治資金パーティーの券を、県補助金の減額をちらつかせて関係団体を脅して買わせた疑惑……。典型的な維新しぐさ。
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しかし、「おねだり」って発想が古すぎる。日活ロマンポルノかよ。
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