世界中の地雷をなくせ!
日本が生んだ特殊重機
平和のために立ち上がった重機メーカー
平和のために立ち上がった重機メーカー
現在、世界各国に埋設されている対人地雷は推定1億個以上、地雷による死傷者数は年間2万5000人以上で、地雷は今も年間数十万個が埋められているといわれています。
撤去は急務ですが、金属探知機で位置を特定、土を掘り起こして信管を抜く……と、一連の処理は手作業で行われるため、処理する人にも危険がともなってしまうのが実状です。
こうしたなか、カンボジア、タイ、ラオス、アフガニスタン……といった、地雷が多く残る国々で、日本の企業「株式会社日建」が開発した地雷除去機が注目を浴びています。
日建は、そもそもは建設機械の製造・販売・修理を行う従業員20名程度の会社でした。しかし、1994年、雨宮清会長が内戦後間もないカンボジアで、地雷被害の惨状を目の当たりにしたことから、地雷除去機の開発に取り組み始めます。
それから数年後、2000年にカンボジアへ送られた1号機は、ショベルのアームの先にドラム式ロータリーカッターを付けた油圧ショベル型の地雷除去機でした。特徴的なカッターは、長さ20センチの刃40本を備え、これを回転させて地面を掘り起こし、地雷を爆破処理させるというもの。とくに、通常の刃では地雷の爆発による熱と衝撃で簡単に破壊されるため、刃はオリジナルの金属合金でつくられました。
さらに運転者の安全性確保のため、運転席まわりも防弾ガラスで堅く保護されています。
こうして、手作業の数百倍の処理スピードと安全性を備えた地雷除去機は着実に成果を上げ、現在ではカンボジアで40台近くが稼働中。
また、アタッチメントを取り替えることで、地雷除去後も耕運機や種まき機として利用できる仕様にし、跡地を耕せる重機としても現地住民に喜ばれています。現在では、カンボジアのほか、9カ国に計113台の地雷除去機が納入され、世界中から感謝と称賛の声が送られています。
『世界が絶賛する日本 われわれが知らない進化する真価』(Japan's best編集部:編)より