「誰か、私を人間に戻してください」
〝食べさせる人は敵〟
「瘦せ姫」たちの心の叫びとは
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
「瘦せることがすべて」。そんな生き方をする女性たちがいます。
いわゆる摂食障害により、医学的に見て瘦せすぎている女性のことですが、そんな彼女たちを「瘦せ姫」と呼ばせてもらっています。
彼女たちはある意味、病人であって病人ではないのかもしれません。
というのも、人によってはその状態に満足していたりしますし、あるいは、かつてそうだったことに郷愁を抱く女性や、むしろこれからそうなりたいと願う女性もいるからです。
「誰か、私を人間に戻してください……」
いま話題の書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者・エフ=宝泉薫氏が、そんな瘦せ姫たちの心の叫びを語る。
食べさせる人は敵
インターネットにあふれる瘦せ姫の言葉。その内容は、人それぞれですが……。
もっぱら食べないで瘦せるという制限型の場合、目立つのは食べさせようとする相手への異議申し立てです。
たとえば、ある少女は45キロ(身長は161センチ)を目標にダイエットを始めました。
体重は順調に減り、しかし、体力の衰えもしだいに感じ始めます。
保健教諭や親からも瘦せすぎを指摘されるようになり、自分でも、
「目標体重はとっくにクリアしたのに、食事制限がやめられない」
と、告白。具体的な体重は明らかにされないものの、体育の授業中、走ろうとしただけで転ぶようになった、という記述などから、おそらく40キロを切っていることがうかがえました。
そして、ダイエット開始から3ヶ月後、親戚の勧めで病院に連れていかれます。ただし、自分はダイエットをしているだけでどこも悪くないと考えている彼女にとっては、不本意きわまりないこと。受診後、ブログに本音をぶつけます。
「あの医者、45キロまで増やす方針って言ってたけど、誰が増やすか! おとなしいふりしてましたが、内心、殺してやろうかと思ってた。そのかわり、トイレの壁を思い切り殴ってやりました。次に行くときは暴言吐いてやる!」
ところが、次の機会は訪れませんでした。翌月、定期テストの関係で、受診日時を変更しようとして病院に電話した彼女は、予約がいっぱいだと言われ、
「だったら、キャンセルで全然大丈夫です」
と伝え、次の通院を先送り。ますますダイエットに励むのです。それゆえ、周囲からの「食べなさい」攻撃がやむことはなく、ブログには連日、これに対する不満が綴られます。