■橋下氏側は控訴審でも負ける可能性が大？

　裁判は、次回行われる9月26日にも判決が出るという。弘中弁護士によると、高裁は地裁の記録を全部読み、判決が妥当だったかどうかを見るそうだ。記録の見方や意見が多少違っていても、明らかにおかしな点がない限りひっくり返ることはないという。

　そのため控訴審が一審判決を無効にするには、証人申請や新しい特別な証拠が出てこない限り難しいとのこと。橋下氏側からはそうした証拠の提出はなかったという。このままならば一審同様、大石議員側の勝訴になる可能性が高いらしい。

　しかし弘中弁護士は会見では以下のように述べている。

「勝負事ですから油断は禁物」

　最後まで浮ついた気持ちを持たぬよう戒めを口にした。

　その後は、大石議員弁護団からのコメントが読み上げられた。各弁護士がそれぞれ自分の思いを口にしていたが、一貫していたのは在阪マスコミの機能不全についてであった。

　中井弁護士からは、大石議員が訴えられたきっかけのインタビューを引用し、「現場には真実を報道しようとしている記者もいますが、多くの社は幹部が腰砕け。だから取材をしても、記事にならなかったということが多い」と現場で奮闘している記者へエールを送りつつ、維新に不利益な記事は掲載できない現実を話した。

　大前弁護士はBPOでも問題になった橋下氏、松井大阪市長（当時）、吉村大阪府知事の3人が並んだMBSのバラエティー番組を取り上げて、関西マスコミの現状を語った。

「番組制作者側が一方的に作ったのではなくて、こういう番組に出て、こういうコメントしてくださいとお願いをした。出演をする橋下さんたちは『はい。わかりました』と積極的に乗らないと実現しない番組です。ですから、そういうふうにして番組制作することをしてきた結果、今の大阪のメディア状況があるんだということなんです」

　さらに斎藤元彦兵庫県知事によるパワハラが問題視されている件を取り上げて語った。

「在阪マスコミは批判的ですけど、橋下氏が府知事のとき、1年2ヶ月の間に7人の職員が自殺したことを報じなかった。彼や維新の会の手口を批判しなかったこと自体が異常なんです」

　このように断言。マスコミの在り方が、この裁判につながっているという見解を述べた。