現代日本の社会課題「依存症」の原因は“家庭環境”にあった!専門家が解き明かす真実 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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現代日本の社会課題「依存症」の原因は“家庭環境”にあった!専門家が解き明かす真実

佐藤城人氏インタビュー〈後編〉

 

◾️「間違ってはいけない」という思い込み

 

 機能不全家族で育った人が大人になると、以下のような特徴が見られることがある。

 まず、周囲の視線を過度に気にし過ぎるようになる。小さい頃から親の顔色を伺ってきたせいで、職場や世間の目を気にしてしまうという。また、過干渉や過保護に育てられた場合も、親の視線を感じない子どもは、親の視線を求めるため、周囲の視線を気にするという。

 「周りの人が気になってくると、正しくなければならない、間違ってはいけないと思い込むようになります。機能不全家族で育った人は特に親御さんから間違えると注意されていますので、余計に思い込みやすいんです。また、機能不全家族の人たちで虐待を受けた人はあんまり他人と関わろうとないという問題もあります。それは親から虐待を受けてきたせいで人間が怖いからです」

 一方で、過保護、過干渉で育ってきた人は親を「当たり前の存在」と捉えるという。自分の言うことを何でもしてくれる人、悪く言うと「召使い」と見ている。このタイプは内弁慶だが、外では品行方正。なぜなら親から世間体が大事と教わっているからだ。また、甘やかされて育っているため世間に対しては従順な甘え上手である。一方、家では暴君として振る舞うそうだ。

 親の側はこの言葉にオロオロしてしまい、結果的に世間体を気にして従ってしまう。子どもとキチンと向き合って話し合うことをせずに、あくまでも世間体を優先させてしまう。この行動が子どもの怒りをさらに増加させてしまうという。

 「俺(私)がこれだけやってるのに、どうして周りの人たちはやらないんだってなるんです。そうなってしまうと苦しくなりますよね。本当は気にしなくていいのに、どうしても他人の目が気になってしまうんです。そうするとどうなるかと言うと、正しいか正しくないか、上か下かで判断するようになります。他人との関係性も上下関係で結ぶようになります。本来人間関係はフラットであるべきなのに、そうするのでストレスにつながります。自分の中に、こうすれば不安が解消される、という軸があればいいのですが、インナーチャイルドを抱える人はそれがなく、外に求めてしまいます」

 その不安を解消するためにお酒、ギャンブルに走ってしまうという。ここが依存症と大酒飲みやギャンブル好きとの違いは。

 「例えば、酒好きであっても夕方アフター5までは我慢できる、どれだけお酒を飲んでもかならず終電前に切り上げる、といったように行動がコントロールできている場合は依存症ではありません。しかし、インナーチャイルドを抱えていると、コントロールする基準となるものが持てずズルズル引っ張られやすい。そして依存症というものは基本的に悪化していくため、『もっと』が強くなっていく。そうなると黄信号です。

 ギャンブルもパターンは同じです。最初はパチンコに使うお金が1万円だったのが、『我慢できない3万円使っちゃえ!』になり、それが5万円になり、ひどくなると『10万、20万使っちゃえ!』という額にまで増えていきます。どこで止めれば良いのか、自分の中に判断する軸がないからです。こんなふうにどんどんどんどん加速して、悪化していくのが依存症という病気です」

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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