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ギャンブル依存で道を踏み外した水原一平。今彼に必要なのは「一本の蜘蛛の糸」だ

佐藤城人氏インタビュー〈前編〉

 

◾️「蜘蛛の糸」に一本でも捕まれば救わる

 

 実は、自身アルコール依存症だったという佐藤氏。「やめたいけどやめられない」感覚をこう説明する。

 「アルコール依存症になると『飲まないとやっていけない』という感じです。自分でもわけがわからず、ぶわああっと涙流しながら酒を飲んでいる。この感覚は申し訳ないですけど、当事者にしかわからないかもしれません」

 依存症は本人の意思と裏腹な行動をしてしまう病気だ。周りにいる人はその点を理解する必要があるという。例えば、依存症患者は「ウソつき」と言われがちだという。「お酒やギャンブルを止める」と宣言したにも関わらずまた手を出してしまう。そうして「ウソつき」と言われてしまい、自責の念に駆られたり、自暴自棄になったり、他人へ攻撃的になったりするそうだ。

 依存症患者は自殺率が高いそうだ。もしかしたら、こうした周りの理解不足による非難からかもしれない。清原和博氏も自著『告白』で自責の念に駆られて自殺しようとしたという記述がある。それだけ苦しんでいるのだろう。

 日本国内で依存症を治療するにはどういった方法があるのだろうか。佐藤氏に聞いてみた。

 「家族や本当に親しい友人がいたら、依存症を理解して彼を救うための糸を一本残しておいてほしいです。その人のことが嫌いでもいいです。とにかくギリギリ最後の一本の糸があれば、それに捕まることができます。捕まった瞬間に『治したい』と本気で思えるようになりますから。

 依存症患者というものは、その糸に捕まるまでとても警戒心が強い。疑いながら様子を見ている。でもそこで一歩踏み出して捕まることができれば、治療への道を踏み出せます」

 清原和博氏の場合は、佐々木主浩氏が糸を垂らしてくれたおかげだろう。山口達也氏は家族がサポートしてくれた。そうした献身的な人が1人でも2人でもいることが治療をしていく上で大事になってくるそうだ。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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