雄大な脇立に敵もびっくり!? 内藤家伝来の具足
名将甲冑大全 第9回
「内藤新宿」の地名で知られる、信州高遠藩3万5000石の大名内藤家に伝来したもの。内藤新宿は江戸時代に宿場が設けられ、多くの人々で賑わっていた。内藤家の下屋敷がこの地にあり、太宗寺(たいそうじ)には内藤家5代目の正勝以降の歴代当主の墓所がある。
兜は鉄地黒漆塗五枚張の日根之頭形(ひねのずなり)で、鉄地金箔押切付札五枚の日根野シコロを付す。脇立(わきだて)は内藤家の定紋藤の花をアレンジしている。面頬は鉄地黒漆塗目の下頬で鉄地黒漆塗切付札三段の垂れを付ける。胴は鉄地黒漆塗切付札の二枚胴に、裾板に猪毛を植えた草摺六間五段下りとしている。袖は鉄地金箔押切付札六段下り。他に鎖籠手・革製金箔押、左右に黒餅を描いた板佩楯・六本篠臑当が付属。
雄大な金箔押の脇立・金箔押の佩楯・兜に桃山時代の名残が見て取れる。遠方からでも人目を引き、見る者を威圧したことであろう。