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49歳“大巨人”石川修司が「今が全盛期」と語る理由。身長195cm、体重130kgのレスラー

■「明るく」「楽しく」「激しい」プロレスを全日の若手に伝授

▲タッグを組んだ綾部蓮(写真左)と

 2015年にユニオンプロレスが解散すると、石川はフリーランスへと転身する。DDTでは、同団体の大一番、両国国技館大会でメインイベンターを務めるなどプロレス界を席巻した。ユニオンプロレス解散直前から参戦していた全日本プロレスでも結果を残す。伝統のリーグ戦チャンピオン・カーニバルと、世界最強タッグ決定リーグ戦をW制覇。

 三冠統一ヘビー級王者にも輝いた。この時、タッグを組んでいた諏訪魔とは 2017年にプロレス大賞の最優秀タッグ賞を受賞。フリーのプロレスラーとして八面六臂の活躍を見せる。諏訪魔とのタッグは「暴走大巨人」と呼ばれ、3年連続プロレス大賞最優秀タッグに選ばれるほどの名タッグとなり、全日本プロレスの世界タッグ王座を4度獲得した。

 そして2019年に全日本プロレスへ入団。新人時代、「馬場オマージュ」のレスラーとしてリングに上がったことある男が、ジャイアント馬場が創設した団体でトップに立ち、そこで得た価値を伝える役目を担うことになる。

「全日本プロレスで意識したのは馬場さんが言っていた、『明るく、楽しく、激しい』プロレスです。元々僕のプロレススタイルもそれに合わせていたし、そうなりたいと思っていたので違和感なくいけました。やっぱりお客さんが喜んで帰ってくれるのが、その三つの要素だと思うんです。自分のファイトで満足してほしいなっていうのがありましたので、それは結構意識してました」

 入団後石川は、全日本プロレスの戦いをお客さんに伝えるべく奮闘してきた。2021年に暴走大巨人を解散するも、身長2mを超える26歳・綾部連(※7)とタッグを結成。若手選手の育成にも乗り出していた。

「綾部選手は自分よりも大きいから目に入ってきたんですよ。確かジャストタップアウト(※8)で一度対戦したんです。全日本プロレスに来るようになってから、アドバイスするようになりました。プライベートで会うとかはありませんけど、プロレス業界として大きな選手が大成するのは嬉しいじゃないですか。それで教えられる範囲でアドバイスしていました」

 この頃、石川はEvolution女子という団体を諏訪魔と一緒に旗揚げし、女子プロレスラー育成にも乗り出している。現在、4名のレスラーが所属している。石川はGM(ゼネラルマネジャー)として大会の運営をし、諏訪魔がプロデューサーとして側から支えている。若い選手を育てるときにどんなことに気を使っているのだろう。

「本人たちがやりたいって言ったことはあまり否定しないようにしています。例えば昔だったら、ダメの一言で終わりでしょうけど、『こういうキャラクターをやりたい』と言ってきたらやらせてみます。あまりにも変なら止めますよ。でも本人達がやりたいっていう気持ちの方を優先してるところはあります」

 そんな石川が先輩からのアドバイスで印象残っているのが、レジェンドでもある小橋建太から受けたものだという。

「『自分のファンが応援してよかったと思える戦いをしなさい』と小橋さんが言ってくれたんです。すごくいい言葉だなと思って自分でもそういうファイトができるようにと思ってリングに上っています」

 今でも石川のファイトを期待しているファンは会場へと足を運ぶ。そして彼はリングで「応援してよかった」と思える戦いを見せてくれるだろう。

※7:全日本プロレス所属のプロレスラー。練習生の頃から長身で注目を集め、ファンや関係者からヘビー級の大器として期待をかけられている。

※8:正式名称は「プロフェッショナルレスリングJUST TAP OUT」。世界最大のプロレス団体WWE(当時はWWF)で活躍したTAKAみちのくがリングで「鍛え上げられた肉体のぶつかり合い、磨き上げた技術」を見せる団体。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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