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49歳“大巨人”石川修司が「今が全盛期」と語る理由。身長195cm、体重130kgのレスラー

■49歳でもギラついてパワフル。「今が全盛期」宣言

▲西湖プロレスにて

 今年の1月に全日本プロレスを退団。現在、石川は再びフリーランスになっている。石川は全日本入団前の雑誌取材でこのように語っていた。

「いろんなリングに呼んでもらってますけど、フリーはダメなら切られるだけですからね。その怖さは常にありますよ。毎回、いいものを提供しなきゃいけない。期待を超えなきゃいけない。それは意識してます」

 フリーとして再び活動を始めた石川に当時の気持ちと変化はあるか聞いてみた。

「基本はやっぱり石川修司らしくって思っています。全日本(プロレス)にいたときもそれを求められていたけど、団体として頑張らなきゃっていうところがありましたね。フリーランスで個人商売だから今の方がギラギラ感強いですね」

 フリーランスになった石川がギラついたファイトを見せたのが、5月4日に行われたプロレスリング・ノア両国国技館大会である。石川は第1試合で、GHCハードコアのタイトルを賭けてリングに立った。戦いは、ハードコアマッチらしくイスやラダーが使用された。石川は、リングに持ち込んだハシゴにパワーボムで王者をたたきつけた。最後まで相手をとことんまで痛めつけてベルトを奪った。

 試合後も「GHCハードコアのベルトを取れて、またNOAHに上がる理由ができたな。誰でもいいよ(挑戦に)名乗りを上げてこい。まあ普通のルールでもいいぞ。俺はどっちでも強えからな」と全日本時代とは違う顔を見せつけた。今年 49歳となるが、「今でも全盛期」と語る石川に、その根拠を聞いてみると納得の答えが返ってくる。

「全日本プロレスにいる前から言ってきたんですけど、昔より今の方が強いからもしれないってずっと思っていたんです。具体的なエピソードとかはありませんけど、関本(大介)や岡林(裕二)と戦ってきたり、佐藤耕平(※9)さんや諏訪魔さんと組んだりしていると自分に足りないものに気づくんです。それを埋めるために練習したり、試合したりしていくうちに、もっと自分が強くならないと駄目だっていう気持ちが強くなるんです。そうすると、日々練習をして積み重ねていくことで自信がつきますし、前の自分より強くなっているなって感じるから言っています」

 ところで、石川が持っているのは強さだけではない。忙しいスケジュールの合間をぬって、闘病中のファンを見舞う優しい姿も垣間見せる。今は、全日本プロレス時代には中々できなかったファンとの交流も深めていきたいと語っている。そしてフリーランスとして生き残るために必要なことを聞いてみた。

「フリーランスとして必要なのはやっぱり個性じゃないですかね。それがないと呼ぶ価値がないわけじゃないですか。他の人と同じことをしてもしょうがない。同じ団体の大きな選手がいたら違うファイトを見せる。フリーランスは一つ一つが勝負なんです。そこで駄目だったら正直いらないわけじゃないですか。そういう意味で内容もそうだし、結果も見せないといけないなっていうのはありますね。そういうのができないとフリーとしてやっていくのは難しいかなと思います」

 そう語る石川に再び自分だけの船に乗り、プロレス界という大海原を漕いでいく覚悟が見えた。最後に同年代でもある氷河期へ向けてメッセージをお願いしてみた。

「仕事とかで落ち込んだりもするとは思うんですけど、前を向くしかないんで。僕もこの年齢なので、若い子に比べたらスタミナ面とかどうしても落ちてくる部分があるんです。でもそこで悔しいと思って若いやつに負けたくないっていう気持ちで練習とか仕事に打ち込んでいくのがいいと思います。あんまり言うと老害とか言われちゃいますけど(笑)、前を向いて生きててほしいです」

 恵まれた身体がありながら入門テストに落ちた男は、努力によってプロレス界の大巨人となった。これからも暴れまわるだろう。

※9:2001年に故・橋本真也が旗揚げしたZERO-ONEでデビューしたプロレスラー。新日本プロレスやNOAH、大日本プロレスでも活躍。2020年にZERO1を退団し、フリーとして活動している。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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