橋下徹、控訴審でも大石あきこ議員に敗訴!記者会見では府知事時代のパワハラも蒸し返され…
■橋下氏が府知事・市長時代に行った壮絶なパワハラとは?
その後、大石弁護団の大前治弁護士から橋下氏が府知事時代に職員へ行ったパワハラの手口が明らかにされた。パワハラと言えば最近では兵庫県の斎藤知事の例として、職員に対して真夜中にチャットを送っていた、すぐに返信しないと追及が始まる、などという報道が出ていたが、橋下氏も同じようなことをしていた。
彼もまた府知事時代、毎日のように夜中、職員たちに一斉にメールを送っていたという。2009年1月10日午後9時20分のメールには、こんな内容が記載されていたと大前弁護士が紹介をしてくれた。
「職員へ送ったメールの文面に、知事の意にそぐわない職員がこんなことを言っていたと前置きをして、『知事である僕の方針が嫌なら辞めてほしいと直接本人に伝えました』と書いてあった。その後、『辞めるのは職員の方です』と追い打ちをかけていたそうです」
これは明らかなパワハラだ。2008年7月30日の朝日新聞の夕刊には「橋下知事から叱責された職員が体調を崩して病院に運ばれた」という記事が掲載された。同年6月12日の同新聞の記事によると、橋下知事が職員に対して「私のやり方があなたの意に沿わないならば、職を変えてくださって結構です」と職員に言い放ったという。もちろんどちらもパワハラだ。
事実として、橋下氏の府知事3年目の2010年度には府職員から6人も自殺者が出ている。さらに翌2011年度にはさらに、3人。つまり2年の間に9人もの職員が自らの命を絶ったということだ。これは兵庫県の斎藤知事下での自殺者数の比ではない。
しかし在阪マスコミはこれらの事実を黙殺した。雑誌FRIDAYが「私の同僚は橋下知事に追い込まれて自殺した」というタイトルで記事にしたが、橋下氏の暴走は止まらなかった。
大阪市長に就任した2012年2月には職員へ思想調査アンケートを実施。アンケート用紙には「正確に答えなければ処分の対象にする」との文言が、ご丁寧に毛筆で書かれた「橋下徹」の署名と共に記されていたという。
職員への思想調査は、憲法の「思想信条の自由」に抵触する。橋下氏は裁判を起こされ、2015年3月に違法だと認定された。このとき原告側弁護団の事務局長が大石弁護団の西弁護士で、大前弁護士も弁護団の一人だったそうだ。
大前弁護士はこれらの事実を踏まえた上で、当時黙殺したメデイアの責任は大きいと述べた。さらに橋下氏が大石議員を訴えた理由についても私見を述べている。
「彼女は大阪府の職員として橋下府政のひどさを目の当たりにしてきた人です。実体験を持ってる大石さんだからこそ語れる話があるし、彼女の話だからこそ聞いてくれるたくさんの人々がいます。それが橋下さんにとって都合が悪い。だから彼女を黙らせようとしてきたのではないかと思います」
橋下氏ならば考えかねないのが恐ろしいところである。
筆者も本件の取材で大阪へ行った際に実感したが、あちらのメディアは橋下氏によってすっかり牙を抜かれてしまっているようだ。一審で被告の大石議員が証人尋問を受けたときも、裁判後に被告側が記者会見を開いたが、在阪メディアの記者は一人もいなかった。
控訴審判決でも、「政治家に対する批判、政治活動に対する批判は広く許されるべき」と裁判所が認めている。メディアは政治を監視するのが重要な役割だ。今回の判決で、その“基本のき”を今一度胸に刻みたい。
取材・文:篁五郎