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タリバン(アフガニスタン・イスラーム首長国)のカーリー・ディーン・ムハンマド経済大臣に単独インタビュー「アフガンは米国と中国、どちらを選ぶか?」

筆者は今年8月、アフガニスタンの首都カブールにある経済省の経済大臣室でインタビューを行った。今後の取材を円滑に進めるため、顔写真の掲載は行わない。

 

―― アフガニスタンには、電気自動車の製造に不可欠なリチウムなどの鉱物資源が多数埋蔵されています。こうした鉱物資源を活用したり、採掘するための投資の計画はありますか?

 

 現在、鉱物資源を採掘するための投資計画が進行中です。中国の企業と協力して、既に投資計画が結ばれているものもあります。

 鉱物資源の採掘により、アフガニスタン国内で雇用が創出され、経済成長に繋がることが、アフガニスタンにとって何よりも重要と考えています。

 

―― アフガニスタン経済や産業の状況についてどう考えますか?

 

 アフガニスタンの経済状況が悪いために、これまで多くのアフガニスタン人が他国へ経済移民として出ていきました。また現政権になってから、失業率が高くなっていることも事実です。国際社会からの支援計画が停止されたり、アフガニスタンの国外資産が凍結されたりしているためです。

 経済省は、5ヶ年計画を策定しており、現在は小規模の産業の支援を中心に行っていますが、将来的には大規模産業に対しての支援も検討しています。

 アフガニスタンは、全ての企業に対して、海外からの投資を歓迎しています。海外からの投資を呼び込むことがアフガニスタンの経済成長に必須であり、アフガニスタン国内での雇用創出にも繋がるからです。

 

――米国はこれまで、アフガニスタンの多くの無辜の民衆を殺害するなど、アフガニスタンを破壊した張本人であることに違いはありません。しかし世界経済の覇権国であることも事実です。今後、米国とは経済的にどのような関係を結ぶことができると考えますか?

 

 おっしゃる通り米国が多くのアフガニスタン人を殺害したことは事実です。しかしながら経済分野で大きな存在であることもまた事実です。私達は全ての国から投資を受け入れるつもりです。中国や日本はもちろん、米国からの投資も受け入れる用意があります。

 米国の軍事占領下で多くの同胞が殺害されたのは事実ですが、軍事的な側面は抜きにして、経済的な側面からは米国とも協力する用意があるのです。

 

――世界には米国と中国という2つの覇権国家があります。アフガニスタンはこのうち、どちらの国と関係性を深める必要があると考えますか?

 

 アフガニスタンと中国とは、76キロメートルもの国境を接する”隣国”です。更に、中国は経済的にも技術的にも高度に発展した国家でもあります。しかし、中国や米国のどちらかと関係を深めるということではなく、アフガニスタンは全ての国からの投資を歓迎します。

 

文:田代秀都(ジャーナリスト)

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田代秀都

たしろ ひでと

ジャーナリスト

2001年神奈川県生まれ。大学在学中より、中東地域を精力的に取材。これまで、シリアやイラク、レバノン、アフガニスタンなどの国を取材・各種週刊誌などで発表。

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