石破政権は安倍周辺一味を追放できるのか、日和るのか?【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第73
とりあえずわが国は、高市早苗総理、小泉進次郎総理という危機は回避した。高市になったら安倍晋三路線の継承だし、進次郎になったらバカ路線の継承である。なお、高市の推薦人には裏金議員が13人も名前を連ねていた。一方、石破にも問題は多い。総裁選の間「解散までには一定の期間が必要だ」と言ってきたにもかかわらず、10月末の総選挙を言い出す。組閣についても、自民党腐敗の象徴である菅義偉が副総裁に就任。逮捕歴もある三原じゅん子が入閣。代表を務める政治団体が悪質なプロパガンダ組織と繋がっていた小渕優子が組織運動本部長。人事に関する問題は多い。新刊『自民党の大罪』(祥伝社新書)で平成元年以降、30年以上かけて、自民党が腐っていった過程を描写した適菜氏の「だから何度も言ったのに」第73回。
■石破政権の今後
石破茂は、党本部で衆院選での公認問題を協議し、対応方針を決めた。次に該当する場合は公認しないとして、(1)党から「選挙での非公認」より重い処分を受けた議員、(2)「非公認」より軽い処分でも、現時点で引き続き処分が継続しており、政治倫理審査会で説明責任を果たしていない議員、(3)説明責任を十分果たさず、地元での理解が進んでいないと判断される議員を挙げた。
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今回非公認になったのは、西村康稔、下村博文、高木毅、萩生田光一、三ッ林裕巳、平沢勝栄、菅家一郎、細田健一、中根一幸、越智隆雄、小田原潔、今村洋史の12人。また、裏金議員については比例名簿に載せない、石破自身と党4役は重複立候補をしない方針。
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しかし、石破は9日の党首討論で、自民党が非公認とした裏金議員が衆院選で当選した場合、追加公認する考えを示した。意味不明。選挙で当選すれば、犯罪はなかったことになるのか?
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裏金問題だけではない。森友問題、加計問題、「桜を見る会」事件、広島買収事件、統一教会問題、機密費の流用疑惑……。石破はこのままお茶を濁すのか、どうせ短命政権だと開き直って、日本を破壊してきた竹中平蔵―菅義偉―安倍晋三的なものを封じ込めることができるのか。
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当たり前の話だが、石破政権に対する真っ当な批判は必要だ。しかし、安倍の残党、カルト言論人、周辺の腐ったメディアが石破潰しに動いているので注意しなければならない。
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今回、自民党に最低限の自浄作用が働いたのは事実である。かつて安倍について「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊して、旧統一教会に選挙まで手伝わせた。私から言わせれば国賊だ」と正確に指摘した村上誠一郎が総務相に。村上は集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法にも反対、森友・加計学園問題でも批判を繰り返してきた。
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麻生太郎は新たに設けた「最高顧問」という名誉職に押し込まれた。高市は総務会長の打診を断り、小林鷹之も党広報本部長を固辞した。河野太郎も閣僚から外された。旧安倍派からの入閣はゼロ。
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石破は日米地位協定の見直しにも言及しているし、憲法を空洞化する安倍周辺一味による加憲論に対し「整合性がない」と正面から批判してきた。もともとの主張通り、意味不明の加憲改憲を取り消すべき。
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裏金議員の杉田水脈は比例で出馬できなくなったが、恥知らずにも自民党山口県連が次期衆院選の比例中国ブロック単独候補として杉田を擁立するとして党本部に公認申請を行った。いかれているね。自民党は「水脈(みお)切る改革」を。
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