小笠原満男と本田圭佑の「とんでもない発想」
――劣等感を持った僕が生き残るために教えられたこと
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■常識はずれなことが重要なときもある
そして、鹿島を退団し、タイで1年間プレーし、ファジアーノ岡山で2年目のシーズンを戦っています。生きてきた背景や歴史が違えば、当たり前や常識が違います。言われてみればそれも当たり前のことですが、それがどういうことなのかは経験してみなければやはり分かりませんでした。
タイでは、全く違う文化で育った選手たちと、同じ気持ちとイメージを共有することの難しさに直面しました。岡山では、まだ歴史の浅いクラブの中で、クラブを取り巻く常識や個人の当たり前を打ち破る難しさにやりがいをもって挑戦しています。
その中でこの3年間、チームを引っ張る役目を任されながら戦ってきて思うのは、小笠原選手や本田選手のように、リーダーは「当たり前を当たり前のようにできること」と「当たり前を疑うこと」をバランスよくこなさなければいけないということです。
「当たり前を当たり前にすること」をチームの常識にしながら、時にはそのチームの常識を大きく上方修正するような常識はずれなことも必要です。それも、それを自然体で豪語できるような自身への自信の裏付けも持ち合わせていなくてはいけません。
「自分は自分」
自分にできることを探してコツコツとそれをブレずにやり続けること。どこに行っても大切な、選手としてベースとすべき部分でしょう。ただ、それが確立されればされるだけ、そこから抜け出すことが難しくなります。
「自分は自分?」
そんな自分に、いつまでもそう問いかけられる、柔らかさやしなやかさを備えた選手でいたいと思っています。