リアルスパイダーマンが実現!? 世界中から注目を集める最強繊維、人工クモ糸化の技術!!
クモの巣の驚くべき力を生かした新繊維
米軍やNASAよりも先に実現した新技術!!
綿や麻、絹、ナイロンなど、さまざまな繊維(糸)がありますが、最強の糸は「クモの糸」だといわれます。ニワオニグモという種のクモの糸は、絹糸の約2倍、ナイロンの約1.3倍もの強度をもつという研究結果もあります。
この繊維としての「クモの糸」をつくってしまったベンチャー企業が、山形県鶴岡市にあります。
その名もSpiber(スパイバー)。2013年に世界で初めて人工クモ糸の量産化に成功しました。この新繊維は「QMONOS(クモノス)」と名づけられ、繊維の常識をくつがえすものとして、さまざまな業界から注目されています。
一般に繊維は、強ければ伸びず、よく伸びれば強度に欠けるもの。しかしこの新繊維は、鉄鋼の4倍の強度、ナイロンを上回る伸縮性、300度を超える耐熱性をもち、「軽くて強い」炭素繊維より40%も軽いという驚異的な特性をもっているのです。
じつは、米軍やNASAをはじめ、世界中で人工のクモ糸を生産しようと研究が重ねられてきましたが、どれも実用化にはいたっていません。この領域で、世界初の偉業を達成したのが、スパイバーの若き創業者・関山和秀氏(当時30歳)でした。
彼は、クモの糸の主成分であるタンパク質、フィブロインの遺伝子配列をすべて調べあげ人工複製に成功。さらにその遺伝子を組み込んだバクテリアを発酵培養し、クモ糸の原料となるタンパク質の大量生産を実現し、新繊維QMONOSを開発したのです。
このQMONOSは、従来よりも高い強度と伸縮性をもつため、繊維分野だけでなく、自動車や航空機、鉄道といった機械のほか、人工血管など、あらゆる産業利用が期待されています。さらに、化学繊維のように石油に頼らず、低エネルギーで生産できるため、日本発のエコな次世代新繊維として世界中から注目を集めています。
と、工業的な技術力はもちろん見事ですが、そもそも本件、クモ自身がすごすぎ。なかには用途に応じて数種類の糸を吐くクモもいるほどで、自然の力には頭が下がります。スパイダーマンが自分の出す糸ですいすいと飛ぶように移動できるのはウソでないかも。