Scene.41 本屋に、来てくれてありがとう!
高円寺文庫センター物語㊶
「そのロックンローラー・ポストカード、売れているんだよ。
ただ、単価が150円が辛いところなんだけど、ROCKな本屋の看板代わりってな感じで置いているんだ」
「あ、店長。ずっとご無沙汰で、恐縮です!
かつて教えていただいたように、入店したらお声がけする前に店内チェックだというお言葉に従って拝見していました。
昔はブロマイドと、言っていましたよね?!」
「そんな説教というか、アドバイスというかを忘れているのに!
確か、インディーズ雑誌の『マ―キームーン』さんでしたよね」
「はい。
店長の年代はいいですね。まんまロックの歴史じゃないですか」
「まぁそうかな、ちょっと出遅れ感はあるけどね」
「いやいや、ビートルズの日本公演だって行っているじゃないですか! デヴューから聴いているんでしょう?!」
「ビートルズ以前は、ベンチャーズやカレッジフォークにグループサウンズなんだ」
「だから店長は、日本のロックの歴史を聴いて歩んできたんですってば!」
「叔父や叔母がさ、アメリカンPOPS聴いていた影響だよね」
「やっぱり、ロックに出逢うのも環境ですよね?!」
「だと思うよ。
うちの離れには、家業のクリーニング屋の職人たちが住んでてね。彼らからは歌謡曲や演歌の影響を受けちゃったな」
「音楽に、好き嫌いないんですね?!」
「だって、フォークの神様って言われたボブ・ディランがエレキギター持ったでしょ。
ヤードバーズからは、ツェッペリンってハードロックに変化するしアートロックだ、グラムロックだ、フォークロックだ、カリフォルニア・サウンドだ、パンクだって目まぐるしかったな・・・・」
「それなんですよ!
時代と合わせ鏡に変化するロック、店長の世代はride onだったわけで羨ましい!」
こうしたインディーズ系の雑誌の持ち込みは多く、文庫センターの個性を彩って売れていた。
「店長!
清志郎さんのマネージャーさんから、電話ですよ!」
「イェイ♪
みんな、聞いてくれい!
マネージャーさんからの電話はさ。『清志郎の本がけっこう増えたので、新刊の事前予約を受け付ける感じで8月の日比谷野音ライブで物販を担当してくれませんか?』だって!」
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