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“本を書けない著者”を救う「ブックライター」という仕事。「ゴーストライター」批判はお門違いだ!【加藤純平】

▲本を著者に代わって書く「ブックライター」という仕事 写真:Picography

著者に代わって本を書く、「ブックライター」という職業をご存知だろうか。本の良し悪し、売れ行きを左右する重要な存在だが、あまり表にフューチャーされることはない。そもそもなぜブックライターが求められるのか? 悪いイメージもある「ゴーストライター」との違いって? ホリエモンこと堀江貴文氏や、人気YouTuberヒカル氏などのベストセラーに携わってきた、加藤純平氏が奥深きその仕事を明かす。


■ブックライターへの依頼が止まらない理由

 多くの人は「本=著者自身が書くもの」というイメージを持っているはずだ。しかし、とくにビジネス本や自己啓発本の場合、著者自身が書いていることは稀である。例えば『「書ける人」になる!今すぐできるシンプルな書き方の極意』のような文章術の本や、『そのモヤモヤは言葉にできます!プロが教える「想いを言葉にする」技術』といったような言語化がテーマの本であっても、ブックライターが文章を書いていることがある。

 なぜ、本人が書かないのか。

 その理由は主に2つ、「忙しい」と「書けない」からだ。

 一般的に本を出せる人というのは、少なからずその道のプロや、何かしら成功を収めている人になる。しかし小説家などの専業作家を除いて、多くの著者は本業で忙しい。

 一方で、1冊の本に必要な文字数は膨大だ。判型にもよるが、一般的な単行本の相場は10万文字。大学の卒論を5回出す(一般的に大学の卒論の文字数は2万~4万字とされる)、400字詰め原稿用紙を250枚書く、140字のXのポストを714回するのと同じ文字量、といったらその途方もなさが伝わるだろうか。

 ただでさえ多忙な著者にとって、このボリュームを書く時間を捻出するのは簡単ではない。

 2つめは「書けない」。

「書けない著者」なんて、まるで「運転できないドライバー」や「計算できない会計士」みたいだが、こうした「書けない著者」は一定数いる。

「学校の授業で作文ぐらいやったでしょ。しかも本を出せるぐらいの優秀な人なら、自分の考えを文章にまとめるぐらい楽勝でしょ」

 そうお思いの方もいるかもしれない。

 でも、「わかりやすく書く」「商品になる、お代をいただける文章を書く」「10万字を論理的に書く」という条件がつくと、話は違ってくる。稀代のカリスマ社長でも、天才的なマーケターであっても、こういった文章力を備えている保証はないのである。

「本を出せる実績」があり、しかも「文章も上手い人」となると、レア中のレア、ということで私たちブックライターに話が回ってくるわけだ。

■読者は著者の「筆跡」が欲しいわけじゃない

 ポジショントークをさせてほしい。私は「そもそも本を著者が全て書く必要はない」と思っている。

 著者が自分で書くことにこだわるあまり、時間がとれず、自分で納得いく文章が書けず、出版社に企画が通っているのに永遠と本が出ない。そうなれば、著者のメッセージを必要とする読者に、その言葉を届けられなくなる。それは著者にとっても、読者にとっても、不幸なことではないだろうか。

 これが小説やエッセイであれば、読者も作家自身が紡ぐ生の言葉や筆使いを味わいたいだろう。気持ちはよくわかる。

 しかし、ビジネス書や自己啓発本の読者は違う。それらを読む人が求めているのは、著者の経験から得られた気づきや学び、ノウハウであるはずだ。もっと言えば、その本を読んで自分の考え方や生活、人生が変わっていくことを期待している。

 そこに著者が一字一句書いたという「筆跡」は重要ではないのである。

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加藤 純平

かとう じゅんぺい

ブックライター

大学在学中にライターとしてのキャリアをスタート。これまでに堀江貴文氏、西村博之(ひろゆき)氏、YouTuberヒカル氏、Testosterone氏といった著名人のブックライティングを手掛け、その累計発行部数は50万部を突破。直近の担当作にニッポン社会のほんとの正体』(著:堀江貴文)など。

 

ブックライターとして主に活動する傍ら、WEBメディアや有料メールマガジン、オウンドメディア、さらに雑誌『週刊プレイボーイ』でのひろゆき氏連載を担当など、多岐にわたるメディアでも活動している。

完全未経験からライターとしてキャリアを築いた経験をもとに、ライティング講座やセミナーも開催している。

 

<SNSアカウント>

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