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週刊文春の「名誉毀損ビジネス」を糾弾する【村西とおる】

『ありがとう、松ちゃん』より

■名誉毀損で訴えられた文春裁判の数々

 また、2005年には本書でご本人が書かれているように、浅野健一元同志社大学院教授は週刊文春11月24日号で「『人権擁護派』浅野健一同志社大教授『学内セクハラ』を被害者が告発!』との根も葉もないデッチ上げ記事を掲載されました。これに対し浅野教授は文藝春秋と執筆者らに対し損害賠償などを求めた名誉毀損訴訟を起こし、2009年5月15日、大阪高裁・松本哲泓裁判長は一審京都地裁の判決を変更し、一審認定の2倍に当たる550万円の支払いを文藝春秋側に言い渡しています。

 2003年4月17日号では「『西田ひかると辛島美登里は社長の愛人』ポーラ株主総会で爆弾質問」なる記事を掲載し、西田ひかる氏と所属のマナセプロダクションから名誉毀損で提訴されました。東京地裁は2004年10月8日、名誉毀損を認め、文春側に110万円の支払いを命じました。

 2005年4月7日号では当時盗作疑惑で芸能活動休業中だった元モーニング娘。の安倍なつみ氏が「盗作ぐらいでガタガタ言われてムカツク」と発言したというコラム記事を掲載し、安倍氏の所属事務所のアップフロントエージェンシーから「記事は捏造である」として損害賠償を求める裁判を提訴され、週刊文春側が「事実ではない」との謝罪記事を掲載することで和解に至っています。

 2012年9月20日号で週刊文春は当時宮崎県知事だった東国原英夫氏が興味を持った女性職員を宮崎県庁の知事室に呼び出していたという記事を掲載しましたが、東国原氏は名誉を傷つけられたとして発行元の文藝春秋社に対し2200万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求め提訴しました。2014年6月30日、東京地裁は「内容が真実だと信じる証拠はない」として名誉毀損を認定し、220万円の支払いを命じました。

■敗訴して謝罪広告の掲載と損害賠償の嵐

 2013年7月4日、同誌メールマガジン(週刊文春WEB)会員に対し「安藤美姫選手の出産を支持しますか?」との個人の人権を無視した破廉恥なアンケートを実施し、これに対し当然のごとくに多数の抗議と批判が寄せられ、5日にアンケートは中止され、「編集長・新谷学」名義で「このアンケートに関して不快な思いを抱かれたすべての方にお詫び申し上げます」との謝罪文を掲載したのです。

 東京高裁第三小法廷・上田豊三裁判長は、建築家黒川紀章氏がデザインした豊田大橋をめぐり、週刊文春2000年4月6日号に「『100億円恐竜の橋』に市民の大罵声」の記事を掲載した発行元・文藝春秋に対し600万円の賠償支払いと謝罪広告掲載を命じた判決を支持し、文春側の上告を退けました。

 文藝春秋社は日本経済新聞社から訴えられた名誉毀損の裁判に敗訴し、2012年7月19日号「日経新聞喜多恒雄社長と美人デスクのただならぬ関係」と題した記事の主要部分が「いずれも事実に反する誤報であり、取り消します」との謝罪広告を掲載しました。

 2016年12月16日東京地裁・沢野芳夫裁判長は中国米の産地偽装問題をめぐる週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、イオンが発行元の文芸春秋に損害賠償などを求めた訴訟の判決で名誉毀損を認めて約2490万円の支払いとWEBサイトの一部の削除を文藝春秋社に命じました。

「インターネット上で女性と不適切な交際をした」とする「文春オンライン」の記事で名誉を傷つけられたとして、お笑いコンビ「霜降り明星」のせいや氏らが文芸春秋などを相手取り損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、2022年12月1日、東京地裁・金澤秀樹裁判長は「女性の意思に反してこのような行為に至ったということは真実とは認められず、ハラスメントとも評価できない」として文芸春秋に330万円の賠償金支払いを命じました。

 国税当局への口利き疑惑を報じた週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、自民党の片山さつき参院議員が発行元の文芸春秋に損害賠償を求めた訴訟で、2023年4月19日、最高裁第3小法廷・長嶺安政裁判長は同社の上告を退けました。

「片山氏の私設秘書だった男性が会社経営者から税制上の優遇措置の継続を依頼されて100万円を受け取り、その後、片山氏が経営者と面会して旧知の国税幹部に電話をかけた」などと報じたが、高裁判決は取材が不十分だったと指摘。面会や国税幹部に電話したとする点は真実ではないなどとし、同社に330万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決が確定しました。

 ここに挙げたのは、週刊文春が著名人に名誉毀損で訴えられた裁判で敗訴した例の一部ですが、その他にも、木下博勝医師や橋下徹氏衆議院議員田中真紀子氏等のケースがあります。

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村西とおる

むらにし とおる

一九四八年九月九日生まれ 福島県出身、福島県立勿来工業高校卒、上京後、バーテン、英会話セットのセールスマン、テレビゲームリース業を経て「裏本の帝王」となるが全国指名手配となり逮捕される。その後AV監督となって今日に至る。 前科七犯(うち米国で一犯)。これまで三〇〇〇本のAVを制作し、七〇〇〇人の女性のヒザとヒザの間の奥を視姦してきた。〝顔面シャワー〞〝駅弁〞の産みの親。「昭和最後のエロ事師」を自任し、「AVの帝王」と呼ばれている。「ありがとう、松ちゃん」応援委員会の発起人。

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