あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第16話〉「最後の家族旅行」
きょうだいが生まれるまで、残りちょっとの3人だけのひととき
家族旅行に行ってきました。3人で行く、最後の旅行です。
初めての旅行は子どもが1歳になりたての頃で、沖縄に行きました。事前にガイドブックを購入して計画を練って、いざ行かん!と臨んだものの、飛行機ではワンワン泣いて、沖縄での車中も泣きっぱなしで、観光先でも終始つまらなさそうな顔をしているのを見て、なんとも申し訳ない気持ちになったものです。
そりゃそうですよね。まだまだ赤ちゃんで色々な事がちゃんと理解できない状況で、突然知らない場所に連れてこられても不安な気持ちになるだけ。私たちも、車での移動中は常に子どもでも食べられそうなごはんがあるお店を探すことに気を取られてしまい、観光は二の次でした。楽しい思い出もいくつかできたけど、今思い出しても苦い初旅行。
それ以来、旅行は車でピュッと行ける場所にしています。今回も、家の近くの温泉旅館。家を16時半に出て、17時にチェックイン。温泉に入って、19時から晩御飯。大好きなトマトとエビフライを好きなだけ食べられて本当に嬉しそうな顔をしている子どもを見て、とても幸せな気持ちになりました。
昔は旅館の醍醐味と言えば静かな部屋で一品一品運ばれてくる料理を食べることだったけど、バイキング形式のレストランでワアワア言いながらガツガツと食べる食事も良いものです。ロマンチックな夜景を前に、おしりをぶりんぶりん揺らしながら裸で走りまわる子どもを追いかけたのも良い思い出。
あなたが旅館の入口にいる小さな獅子舞の人形を見て大泣きしてしまったことも、せまいせまいと笑いながら二人で五右衛門風呂に入ったことも、気分が高揚したのか踊りながらごはんを食べていたことも、おとうちゃんはきっといつまでも忘れないでしょう。
次の日の朝、二人で温泉に入っている時に何気なく「3人で行く旅行も最後やなあ」と呟くと、子どもが「ちがうで。こあらちゃんもいっしょにきてるで」とポツリ。「こあらちゃん」は、子どもが妻のお腹の中にいる子につけた名前なんですけど、子どもの中ではすでに4人生活が始まっていたのですね。今回の旅行は3人で行く最後の旅行じゃなくて、4人で行く初めての旅行でした。
「今度ここに来た時は、こあらちゃん洗ってあげてね」と言うと「うん!」と気持ちの良い返事。その後露天風呂の休憩所で、こあらちゃんに捧げる「ニッポンチャチャチャ踊り」をしてお風呂を出ました。