トクリュウ「強盗」標的リスト流出! 東工大・理科大卒など「理系エリート」が狙われる。某指定暴力団の古参幹部の衝撃証言 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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トクリュウ「強盗」標的リスト流出! 東工大・理科大卒など「理系エリート」が狙われる。某指定暴力団の古参幹部の衝撃証言

指定暴力団の古参幹部が語る


去る10月16日、横浜市青葉区で70代の男性が20代の実行役に殺害されるなど、いま「トクリュウ」(匿名・流動型犯罪グループ)による強盗事件が、全国各地で頻発し社会を震撼させている。こうした中、警察本部は各都道府県警察と連携を図り、トクリュウの取り締まりを強化している。しかし現状は、闇バイトの実行役に指示を出す首謀者を一網打尽に摘発するまでには至っていない状況だ。長年、強盗・窃盗の犯罪行為に携わってきた某指定暴力団の古参幹部が、闇バイトで実行役を募る新手の強盗の詳細な手口について明かしてくれた。


【邸宅侵入事件 関西闇バイトリーダー今井裕治容疑者送検】邸宅侵入の容疑で逮捕、送検される闇バイトのリーダー今井裕治容疑者(中央)=15日午前9時1分、大阪府豊中市の豊中警察署(泰道光司撮影)

 

■衝撃!トクリュウは「理系卒」の個人情報を漁っている

 

ーーターゲットはどのような手順で絞られているのか?

 最近はダークウェブと呼ばれる闇サイトで、強盗に入る家の目星をつけることが多いけど、日本一の古本・古書街の東京・神保町には、いまも複数の闇名簿屋がある。指示役はそういうところからも情報を入手して、下調べをしてあたりをつけるというのが一般的だ。

 特に、人気の闇名簿は、東京工業大学や東京理科大学、芝浦工業大学など、有名大学理工学部のOB名簿なんだよ。ほら、だいたい理系の奴はオタク気質だろう。自分自身の専門分野に関しては、とことん掘り下げて研究するけど、世の中の動向には疎い奴が多い。だから、いまトクリュウ型の強盗事件が頻発していることにも関心がなかったりするんだ。つまり、世間知らず、浮世離れしているところがある。自分たちの家が強盗に遭うかもしれないと危機感を持っていないんだ。

 情報感度の高い人たちなら、これだけ闇バイトの凶悪犯罪がニュースになれば、危機感を持って防犯対策をすると思う。でも、理系の男は視野が狭いから、まさか自分たちが強盗グループから狙われているなんて思ってもいないんだよ。しかも、現役時代には、大学教授や研究者、エンジニアとして活躍していて、高給取りが多い。仕事が趣味みたいなタイプも多いから、預貯金を貯め込んでいる。

 それと理系出身の奴は、草食系で、ひ弱なタイプが多い。もし実行犯と鉢合わせることになっても、抵抗・反撃してくることも少ない。これが体育会系のラグビー部とか柔道部、レスリング部のOBが世帯主の家庭は、歳をとっていても体を鍛えていたり、若い奴よりも腕力があったりするから、やっぱりオレたちも反撃を警戒するよ。だから強盗の指示役が、真っ先に目をつけるのは理系出身者なんだよ。

ーー闇バイト強盗の募集はどのように行われているのか?

 強盗グループの首謀者は、XなどのSNS上やバイトアプリに「誰でもすぐできて稼げる」「カンタンで高収入」とか、「初心者大歓迎」「1件5万円」「深夜に猫を探すだけ」といった感じで求人募集を出している。その文句を金欠の若い子たちは信じて、闇バイトとは疑わずに応募するんだよな。

 いまの若い子は、オレたちの時代とは違って、悪い大人たちを間近に見て育っていない。それに親も子どもに甘いね。社会の暗部や恥部を見せないように、純粋培養で、ぬくぬくと育てられている。昔は、学校で先生が良いことも悪いことも、全部教えてくれたもんだよ。いまは、そういうのがまったくないだろう。しかも、いまの若い子は、もしも自分が強盗殺人で逮捕されたら、自分がこの先どれだけ大変な目に遭うのか、家族や周囲にどれだけ迷惑をかけるか、ということが分かっていないんだよな。強盗殺人で逮捕されたら、無期懲役か死刑だ。無期懲役になったら最低でも30年以上刑務所で過ごすことになるというのに。強盗殺人は、極めて重たい罪だ。インターネットで情報が集められる時代になったけど、いまの若い子には情弱な奴が多いね。

 一部の金持ちとの格差がどんどん広がって、貧乏人が増えている。若い子も、老人も。「とにかく金が欲しい」「金がすべて」という奴が増えているね。そんな時代だから、若くて聞き分けの良い実行犯を集めるのは楽勝なんだよ。首謀者からしたら。

 ただ、闇バイトに募集してきた若い子たちには、最初から強盗はやらせないよ。最初は、限定グッズの行列に並ばせて、その商品を転売させたり、ポイントを不正取得させたり、そういう比較的簡単なものから入っていく。そこで金を握らせて、逃げられないようにズブズブにしていくんだ。その過程で、免許証やパスポート、保険証、学生証などの写真を送らせたり、家族構成や親の勤務先まで聞き出していく。

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大崎量平

おおさき りょうへい

記者・編集者

学習院大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、医療系出版社、編集プロダクション、フリーランスの編集記者、KKベストセラーズ「月刊CIRCUS」編集部、徳間書店「週刊アサヒ芸能」記者、家電業界誌、光文社「FLASH」記者を経て、2018年より講談社「週刊現代」記者として活動。芸能・スポーツからビジネス、社会評論に関する書籍の構成ライターも務める。

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