「雑」な「誌」に魅せられて【新保信長】新連載「体験的雑誌クロニクル」1冊目
新保信長「体験的雑誌クロニクル」1冊目
社員編集者として制作に携わったのは、『モノ・マガジン』と『SPY』。フリー編集者兼ライターになってからは、節操なくいろんな雑誌やムックの仕事をしてきた。編集部にデスクがあった雑誌でいえば、『Miss家庭画報』『SPA!』『マルコポーロ』。創刊前から関わったのは『GON!』『コラムニスト』。レギュラーで数ページのコラムコーナーを担当していたのが『asayan』『YABAI』『小学六年生』など。丸ごと一冊の企画・編集を引き受けたムックも十数冊ある。
そのうちの一冊が、別冊宝島345『雑誌狂時代!』(1997年)だった。1964年創刊の『平凡パンチ』を起点に、ジャンルごとの雑誌の栄枯盛衰や傾向分析・解説をしたものだ。短期間で膨大な作業量を要求され、体力的には人生で2番目にきつかった仕事であり、誤植や事実誤認も少なくないが、自分としては棺桶に入れてほしい一冊である。
それともう一冊、『消えたマンガ雑誌』(2000年)という本も作った。こちらは『雑誌狂時代!』で扱わなかったマンガ雑誌について、ジャンルごとに系統立てて(休刊誌をメインに)考察したものである。
その2冊で、雑誌に関してはもうやり尽くした感はあった。しかし、それからすでに四半世紀が経過し、雑誌というメディア自体が危機に瀕している今、全盛期を現場で見てきた人間として、あらためてその体験を書き残しておきたいと思ったのだ。
きっかけとなったのは、仕事場の引っ越しだ。今年5月、20年近く借りていた仕事場を移転した。そしたらまあ、出てくるわ出てくるわ。ダンボール箱に入れて保管していた創刊号コレクションが続々と発掘された。この際、まとめて処分しようかとも思ったのだが、どうせならもう一度、有効活用してからでもいいだろう――というわけで、この連載を立ち上げた次第である。
発掘された創刊号には、今も刊行されている有名雑誌から「こんな雑誌あったっけ?」と首を傾げるものまで、さまざまなものがある。今これを読んでいる人は、おそらく雑誌好きだと思うけど、以下の20誌のうち、いくつご存じだろうか。