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【橋下徹撃破】「裁判費用に一千万かかった」スラップ訴訟に完全勝利した大石あきこ議員が激闘の約2年半を振り返る

大石議員を直撃!

▲橋下徹に完全勝利の大石議員と弁護団

2024年9月26日大阪高裁は、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が起こした名誉毀損(きそん)裁判の請求をすべて退けた。訴訟相手は、れいわ新選組共同代表の大石あきこ衆議院議員。発端は、大石議員が日刊ゲンダイのインタビューで、大阪府知事及び大阪市長時代の橋下氏について「気に入らない記者を袋だたきにする」などと語ったことだ。裁判は、当サイトでも報じたように被告側有利に進行していき、一審二審共に記事の内容や意見は論評の範囲内であり、名誉毀損にあたらないと判断された。訴訟を起こされてから約2年半もの月日が経つ。国会議員として仕事をしながら、弁護士と裁判についての打ち合わせ、家族との時間…どのように日々を過ごしていたのだろうか。大石議員に当時の心境や多忙な日々のこと、そして裁判にかかった費用、橋下氏のようなスラップ訴訟で言論を封殺しようする輩について思うこと、直接質問してみた。(取材日:2024年11月14日)


■新人議員が橋下徹から訴えられて「結構嬉しかった」ワケ

▲一審での証人尋問後の記者会見で話をする大石議員

 彼女に直接話を聞けたのは総選挙の後。二期目の当選祝いを伝えると「ありがとうございます」とにこやかに返してくれた。裁判を起こされた当時は新人議員で、右も左もわからない状態でのスタートだった。そんな状況で橋下氏から訴状が届いたとき、どんな気持ちだったかのか。

「裁判所から届く封筒って独特なんですよね。あの時初めて見ましたから。『なんやろ?』と思って開けてみると『原告橋下徹、被告大石晃子』と書いてある書類が出てきたんです。もう、びっくりしましたよね。まさか訴えられるとは思っていませんでしたし。

でも、橋下徹と対等な土俵で戦えるとも思ったんです。大石あきこという言論人、政治家を世に訴えていく大きなチャンスだと。相手が有名なので(大きく取り上げられるから)名前も広まるだろうということで、結構嬉しかったですね」

 通常ならパニックに陥りそうな状況だが、むしろプラスに捉えていたというから驚きだ。橋下氏から訴えられたと聞いて、家族の反応は。

「家族は落ち着いていましたね。なんでかと言いますと、私は2008年にも府知事の橋下さんに噛みついたことがあるじゃないですか(※1)。そのとき、ネットの掲示板で大炎上したんです。家族も『コイツとんでもないことをしでかした』と思っていたはずですが、何も言わずに『頑張れ』『応援してる』と言ってくれました。

それから10年経って、私が『大阪府の職員辞めて府議会議員になる』と言ったときも、『突拍子もないこと言いやがって』と内心感じていたと思います。しかも、私落選してますからね(笑)。

その後『国会議員になる』と伝えたら『頑張りや』って送り出してくれて。多分、2回の騒ぎで免疫ができていたんでしょうね(笑)。だから橋下さんに訴えられたときも何も言っていませんでした。

ただ、私の政治活動をそうやって見守ってくれているのはありがたいと思っています」

 裁判の被告となっても、もちろん国会議員としての職務を果たさなければいけない。国会会期中は委員会質疑やその準備、その他支援者からの陳情対応、地元での活動などやることが山程ある。その合間をぬって弁護士との打ち合わせ、どうやって訴訟への時間を確保していたのだろうか。

「振り返るとよくこなしたなと思います。あの頃は秘書も国会の仕事が初めてだったんです。だから進め方もわからない。

YouTubeなど、動画制作もありましたし、更に『維新ぎらい』(講談社)という本の出版も決まっていたので執筆もある。

しかも私は党の政策審議会長にもなったので、法案についての議論も責任者の立場でした。全部が同時進行なので、秘書ともどもパニックになりながら進めてましたよ。どうやって時間見つけたんでしょう(苦笑)。本当に忙しすぎて思い出せません。多分寿命縮んでいると思います(笑)」

 当時はコロナ禍で接触が避けられていたのもあって、弁護団との会議はリモートをよく活用していたそうだ。裁判も一部リモートで進行した。

「時間が確保できたのは、支えてくれる周りの人々、家族やスタッフ、秘書の皆さんが私を支えてくれたのが大きいと思います」

※1:大石議員は元大阪府の職員。府知事に初当選した橋下氏に大石議員が真っ向から反論した様子がテレビで流れてしまい、猛批判をされたことがある。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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