時代に裏切られたとき、「保守」は破壊の理念となる【佐藤健志】
佐藤健志の「令和の真相」52
◆現実はSFホラー映画を模倣する
ウクライナ戦争がヤバくなってきました。
アメリカのジョー・バイデン大統領は11月17日、自国の供給した長距離ミサイルを使って、ウクライナがロシアを攻撃することを許可。
「ロシア西部のクルスク州に侵攻したウクライナ軍を守るべく使用する場合に限る」という限定条件つきとのことですが、従来の方針を転換したのは間違いありません。
現にウクライナは11月19日、アメリカ製の長距離ミサイル「ATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)で、クルスク州の北西にあるロシアのブリャンスク州を攻撃。
翌20日には、イギリス製の長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」をクルスク州に撃ち込みます。
たいするロシアは11月21日、ウクライナ東部のドニプロ市を中距離弾道ミサイル「オレシュニク」で攻撃。
この二日前、つまりウクライナがATACMSをブリャンスク州に発射した日、ウラジーミル・プーチン大統領は核兵器使用に関する指針の改定を承認しました。
新しい指針によれば、核保有国の支援を受けている国が、通常兵器・ドローン・航空機などでロシアに大規模攻撃を加えた場合、たとえくだんの国が核兵器を持っていなかったとしても、ロシアは核の使用を検討する可能性があるとのこと。
そしてオレシュニクは核弾頭も搭載できるのです!
ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギンは2023年の時点で、ウクライナ戦争の帰結は、ロシアの勝利か、核戦争による人類滅亡かの二択だと述べましたが、この発言、もはやシャレにならないかも知れません。
「『滅亡と絶望』、またはプーチンの超時空戦争」(令和の真相51)で論じたとおり、これは2021年のロシア映画『滅亡と絶望』(アレックス・ウェスリー監督)がひそかに警告したこと。
われわれは「現実がSFホラー映画を模倣する」世界に生きているのです。